創作と生活

主に映画の感想を書いてます。

5月5日

どこにでもいる女の子の日常を大体、知ることが出来る時代になった。

僕が中学生ぐらいのときはプロフっていうのが流行ってて(今でいう簡単に作れる個人ホームページみたいなもの)それは運営してる人のブログだったり写真を上げれたり友達のプロフのリンクを張ったり。

そのときにもREALっていう現在のツイッターみたいなものがあったんだけど、そのときは特に何も感じてなかった。

中学生ぐらいから始めたツイッターを2~3年やった辺りから女子学生とかがちらほら自撮りをアイコンにしてその子の淡々とした日常を綴っているのはとても素晴らしいなと感じ始めた。正直、感動に近い。

 

学生時代、気になってた女の子のアカウントは意地悪してくるみたいに鍵が付いててフォローしないと見れない。その子とあまり学生時代、接点がなかったのでさすがにフォローする勇気は無いし学生時代、大人しかったあの子がどんなこと呟いてるのか興味がある。そのとき考えてたことは今でも同じことなのかどうか。

今でも僕と同じ街に住んでいるんだろうけど街では仕組まれたように全然、すれ違わないことを少し恨めしく思う。

すれ違って、お互い「あっ」っていう表情になって、変な間があって、知らんぷりして、お互い目的の場所へ向かう。

これってあと何回、体験できるんだろう?

 

高校時代、狂って自分の中にある鬱憤をぶつけるみたいに漫画を描いては投稿してた少し前の状況。あのときは何で自分の漫画が何も音沙汰なくて何十回も落選しまくってたの意味分からなかったけど現在は色んな編集者の人から連絡くれるようになって少し前と今の状況の違いに少し驚きとそれに慣れるため必死に付いて行ってる感ある。

努力でこうなったのか正直、分からないけど相変わらず絵を上手くなろうとする努力はしんどいし自分は絵を練習しようとしないし嫌いだし笑える。漫画描くのが好きでここまで来れたのかもしれない。あんまり細かいことは分からないけど。

 

結構前に自分の元担当編集者だった方が大阪に用事で来るってことになって生まれて初めて編集者という人と二人で御飯行って色々、喋った。

そのとき自分は絵が下手だし絵を練習することは疲れるから嫌い。だから正直、売れなくても最低限の生活さえ出来ればいいって言ったらその編集者さんは苦笑しながら「いや売れなかったらこっちが困るから。連載してる以上、売れなかった困る」と言われ「あー、なるほど。確かにそうだな…」と反省した。

それからは徐々に売れたいと思うようになっていき、連載する雑誌を黒字にして助ける気持ちで描かないとなと思った。

 

4月の映画
 
「ルーム」★★★★★
レニー・エイブラハムソン監督。
部屋の中で希望を捨てずなんとか脱出を試みる母親と息子ジャックの深い絆がそのままこちらにまで伝わってくる。
奪われた時間を必死に取り戻そうとする故に今度は自分の内面と対峙せねばならなくなる母親。
その母親と息子という時の人を迎え入れたことにより祖父と祖母たちも生活をマスコミたちから監禁されてしまう。そして観客は初めて本当の世界を知る息子を全て出し切り疲れきった母親のように見守る。
基本的に息子の視点でこの映画は進むがその映像がとにかく上手い。非常にリアリティがあって息子が外を出たときの世界の広さとそれに驚く演技。これを観客にまで伝えることができるのは本当に凄い。
母親と息子役を演じたブリー・ラーソンとジェイコブ・トレンブレイの演技が素晴らしく「ルーム」は間違いなく今年の傑作といえる。
 
「LOVE 3D」ギャスパー・ノエ監督
情熱を示す赤色を使った映像、女々しい男の独白
 
「リップヴァンウィンクルの花嫁」岩井俊二監督
様々な顔と名前を持つ人たち。綾野剛黒木華もそう。変な人に囲まれながら生きる女性、レズ。前半良かったが後半から失速。
 
マグノリア」ポールトーマスアンダーソン監督
それぞれ悩みを抱え苦しんでいる登場人物たちが偶然によって繋がり、大量の蛙が空から降ってくるという偶然によって解放される。
奇妙なストーリーを上手くまとめた優秀な群像劇。
 
ゼア・ウィル・ビー・ブラッド」ポールトーマスアンダーソン監督
目の前にある石油の仕事を淡々とこなし成功していく男。
息子が犯したことに対して最後まで信頼せず男もある過ちを犯す。本当の幸せを見つけることが出来ない男と教会を主宰する預言者との対立が素晴らしく男は落ちるところまで落ちてしまう。
ダニエル・デイ・ルイスに引けを取らない演技をする預言者役のポール・ダノに思わず息を呑む。
個人的にポールトーマスアンダーソンの作品の中で一番好きで一番の傑作。
 
ストーリーには少しツッコミどころがあるが相米慎二監督の素晴らしい技術が光り薬師丸ひろ子さんを最大限に活かしている。
もはやストーリーを楽しむという感じではなく相米慎二監督の構図と演出。そしてその中で躍動する役者たちを魅る映画なんだろう。
 
映画への未来を語り、映画への愛を語る。そして映画監督として映画というものを解体する作業。そして映画が原因による苦悩と破壊。
監督の幼少時代の記憶がグイドの映画の構想でもあったり監督が製作した映画にグイド本人が出たりと「8 1/2」は何重にも積み重なったとても緻密な構造になっている。
映画で「8 1/2」自体をグイド取り巻く人々が批評しているようにも見えるし観客はこの難解な映画のパズルをどうにかして解こうとする。しかしその行為自体が映画を面白くさせ、その映画について人と議論するのが幸せだったりするのだ。
 
二人の関係性を表したようなその壁は当時では珍しく女の方から男に歩み寄りヒビを入れる。
しかしその壁はわざわざヒビを入れなくてもよじ登れば簡単に男の方へ行けることに女は気付く。
無駄がないスピーディな展開とユーモアと洒落た台詞に白黒映画への抵抗を取り払うことが出来る秀逸な作品。
 
1925年製作のサイレント映画。この時代にこういう脚本の作品を撮ったことに驚きだが今見ても結構、面白かった。
船員と船長そしてコサック兵との戦いを描く。
オデッサの階段のシーンは有名でモンタージュ理論を自ら実行した映画史において重要な映画監督の一人。
 
暗殺の指令を受けたマルチェロに落ちる影と悲しみを美しくも的確な構図で繊細に描写する。
森の中で殺されたアンナと同様マルチェロも暗い森の中で自分を見失い途方に暮れる。
 
物語が二転三転して途中で追いつくことが出来なくなるぐらい入り乱れ、ほとんどストーリーの一部しか楽しめていない感覚。
原作がピンチョンだしポールトーマスアンダーソン監督のことだし、これを欠点とは思わないがこういう映画に取り残されるという体験はゴダール作品を観て以来だ。
そういう点では繰り返し観なければいけない映画。ポールトーマスアンダーソン監督作品の中で個人的に1番難解だと思う。
3年後か5年後か10年後にまた観ます。
 
「Mommy」グザヴィエ・ドラン監督
苦しさを共にし、それぞれ別の道を歩むことになった二人の母親と一人の発達障害の息子。
手探り状態のまま、ほんの短い間だけ幸せを見つけ目の前が徐々に広がっていく。そこは幻想的でありながらもっとも現実に近い。
人生という壮大なテーマを繊細な表現で切り取った若き天才監督の傑作。
 
「ラストタンゴインパリ」ベルナルド・ベルトルッチ監督
お互い名前を明かさないというルールで男と女が一つの部屋に住んで生活し愛を知る。
絶望的につまらない時間だけが過ぎる中、ジャンピエールレオがいきいきと演技していて最高。
 
3歳で中国の王になった男の子の人生を辿る。
母の死、家庭教師との友情、二人の妻による関係性が素晴らしい音楽と鮮やかな色彩によって彩られる。
 
「黄金狂時代」チャーリー・チャップリン監督
映画ってやっぱり素晴らしいなと思わせてくれるコメディ映画の傑作。
笑いだけでなくチャップリン作品の特徴でもある哀愁も兼ね備える。
テンポが素晴らしくあっという間に時間が過ぎる。
 
路頭に迷うトラヴィスは何もない荒野をあてもなく歩いていき4年振りに弟に発見され、弟の妻とそのトラヴィスの子供ハンターに再会する。
失われた4年間の空白をトラヴィスとハンターによる短い旅によって丁寧に辿っていきトラヴィスがいない間、何が起きていたか。そのトラヴィスの妻は4年もの間、何をしていたかを来た道を戻るようにしっかり伏線を回収するのが上手い。
トラヴィスとハンターによる妻を探す旅の景色は修復した父と息子の関係性を表すようにとても澄んでいる。
夜の街はカラフルな灯りに彩られ見事なものだが特に素晴らしいのは今の仕事に全てを尽くしているとでもいうように真っ赤な服を着て真正面にどかっと座る妻の構図。そのシーンを観ただけでこの映画はここから本領発揮し、傑作の道へと向かわせるのだなとエンディングはまだ訪れていないのに分かる。
そしてトラヴィスが過去のことを受話器に向かって喋る長回しのシーンにただ息を呑み、そのときのハリー・ディーン・スタントンの表情に思わず口から素晴らしいという声が何度も漏れるのだ。
 
 
ロングで自然の中に生きる人たちを幻想的に美しく撮り時々アップで感情を直接、伝える。
人の命、愛。映画を盛り上げるような展開や音楽は何もなくただ自然の音のみが聴こえる。
非常に優しい印象を持つ映画ではあるが少し大人しすぎる。人が猿になって現れるインパクトあるシーンを振り返ればそのあとのあまりの展開の抑揚のなさに否が応でもそう思ってしまうのだ。
 
長い間、眠り続ける息子がただ起きてくれるのを待つ母親。時間だけが過ぎていく。
ノートには今は無き宮殿のことと眠り続ける兵士たちの末路が記され、そのことを知りながら母親は交信が使える女を通じて息子と対話する。
幻想的でありながらも神秘的で母親による息子の愛情が痛切に伝わる映画だった。
 
5時間もある映画で結構、ぶっ飛んだ描写もいくつかある。少し冗長に感じた。しかしロバートデニーロのチンコが見れる映画はこの作品だけではないだろうか。
 
「あ、春」相米慎二監督
どこにでもある一般家庭のぐらぐらとした不安定さと作られた感がする設定のバランス。
ひよこの死と父の死そのあとに父がお腹で暖めたおかげで生まれたひよこ。
輪廻転生を意味するこの表現は佐藤浩一さん演じる男が新しい道を歩もうと希望に満ちた表情と実によく繋がるのだった。
 
アンタッチャブル」ブライアンデパルマ監督
ギャングのボスを逮捕するために組まれた捜査官たちが戦う。
魅せるアクションであんまり退屈はしなかったが突出した面白さもなかった。
そして実話ということだが全体的に「七人の侍」感が凄く感じてどうしても観ながら比べてしまう。
 
「ソロモンの偽証 前編・事件」成島出監督
中学生役の一部の子たちの演技が素晴らしい人もいれば、まだ少したどたどしいなと思う人もいる。まだ若いのでしょうがないけれど。
そして脚本はおままごとしているような雰囲気ですんなりと作品に入り込めず一歩引いた状態で観ていた。
 
「スポットライト 世紀のスクープ」トム・マッカーシー監督
サスペンスのように緩急を付けたストーリーで徐々に教会の恐ろしさに飲み込まれていく。
映画にて僅かしか登場しない児童たちは教会とこの事件の不気味さと恐怖を増幅させる役割であり、笑顔は見せるも決して光の当たる場所には置かれていなかった。
 
「サウルの息子」ネメシュ・ラースロー監督
主人公サウルの周辺で起き続ける惨劇と残酷な映像が長回しの効果により恐怖を植え付ける。
これが長編デビュー作とは思えないほどの傑作。
その完成度の高さに非常に感動した。シネフィルたちの今年の年間ベストにちらほらとランクインしているだろう。
 
コメディとわくわくさせる冒険活劇のほどよい軽さのバランスで面白い。
まさかの終わり方に少し驚きはしたが子供が見たら考えさせられるだろうその深さにグッときた。
ストーリーが秀逸でタイムスリップ物としては非常に良くできた映画かと。
 
あえてそうしてるのかもしれないが小津安二郎東京物語」のリメイクとあって、ある役者の演技が昭和感があり平成の今になって観ると少し違和感があって気になる。
しかしその他の部分はしっかり小津安二郎の良さを上手くリメイクしていて、ちゃんと現代に届いたのではないか。
 
90年代の空気が充満しているアニメでその雰囲気が心地良い。
 
 
冴えない日々を送る男が以前から所持していたショットガンにより突如、崩壊した世界で名前の通り英雄となる。
パニック映画として基本的に良く出来ており、ほとんどがスピード感あって進んで飽きない。
しかし終わり方に工夫がない点やヒロインと重要な登場人物に焦点が当てきれておらず鑑賞後、もっと良い作品に出来たかもしれないとなんだかもやもやが残ってしまった。
 
シュガー・ラッシュ」リッチ・ムーア監督
仮想世界での悪役は現実でヒーローになることを目指すが次第に普通の人に見られることに段々と気付かされていく。
ゲームの細かいネタが詰まっていたり全体的にカラフルな画面と躍動するキャラクターたちが可愛らしく観ていて飽きず楽しめる。
 
「ズートピア」バイロン・ハワード監督、リッチ・ムーア監督
差別問題を個性溢れる動物のキャラクターたちに直面させながらテンポ良いギャグと謎で先が気になるストーリーの相性が非常に良い。
 
「レヴェナント:蘇りし者」アレハンドロ・ゴンサレス・イニャリトゥ監督
極限状態の場所で命懸けで生きながら復讐へと一直線に向かうディカプリオの怪演に思わず息を呑む。
まさに大自然の一部となっているディカプリオのサバイバルの様子を流れるようなカメラで撮り続ける
 
「アナザー・カントリー」マレク・カニエフスカ監督
作りこみが足りない。もっとやれんたんじゃないかと。
 
「エデンより彼方に」トッド・ヘインズ監督
黒人と同性愛差別をテーマにした映画で同じ同性愛差別の「アナザー・カントリー」よりこちらのほうが良く出来てた。切ない。
 
「ブリングリング」ソフィア・コッポラ監督
久し振りにひどい映画を観た。
悪いけど父親の力で映画撮ってると言われても仕方ないなと思う。
前回の「SOMEWHERE」という映画も中々の酷さだったこと今でも覚えてる。

4月16日

3月に観た映画
 
「ファーゴ」コーエン兄弟監督
善と悪は常に隣り合わせで誰しもがそのどちらかに向かう可能性がある。
悪人になった人間を相手に仕事する婦警がもっとも安心するのは寝る前、ベッドに入るときだけ。
夫が描いた絵が切手の絵柄に採用され2ヶ月後に出産予定の婦警は心配そうな表情で二人肩を寄せ合い不安な未来へと生きていく。
 
 
 
英国王のスピーチ」トム・フーバー監督
後半からはテンポが悪い。だれる。長く感じる。
観る前から最後、主人公が上手くなったスピーチを国民の前で行うということは誰もが分かること。だがこの映画ではそこに喜劇王が演じた独裁者のように狂気迫るスピーチをコリン・ファースがするでもなく、かといって感動するわけでもない。
 
 
 
輝かしいカジノを中心に生きる人々を描いているがちゃんと裏も忘れていない。目まぐるしい展開でカジノのように観客を楽しませ飽きさせない。しかしカジノには成功の側に常に危険が伴っており、チンピラからカジノで成功したロバート・デ・二ーロ演じる男がそれを破壊的な美しさで表現。
 
 
 
女性の側面を持つ男が自分とは正反対で強い男のタイラーと出会いファイトクラブというストレスを持った男だけが集まりただひたすら1対1で殴り合うクラブを作る。性別の壁、ゲイ、レズなどにも通ずる問題をアクションで立ち向かう姿勢が素晴らしい。アイデンティティーを問う中々ないタイプの映画。
 
 
 
地雷除去する主人公の映画にしては基本的に退屈だった。地雷ということもあり、映画全体を静かにしているのだろうが観ていて自分が予想することが映画の中でもそのまま起きていた。自分の中での期待値を超えることはなく平凡な作品。
 
 
 
いかにも日本で作ったとても日本らしい映画で日本の美しさを四姉妹が過ごす街と共に映す。大人しい状態の海のように静かに過ごす家族でありながら時々、起こる小さな波という事件に巻き込まれる四姉妹。
久し振りに良い邦画を観たという気持ち。
 
 
 
テラスハウス クロージング・ドア」前田真人監督
一つ屋根の下で共に生活するリアルな若者たちの等身大の恋愛。上手くいかなかったとき恋愛は何周期で回ってくるのか?上手くいけばその家を出て行き、上手くいかない場合はそのまま自分という家に閉じこもることになるかもしれない。第三者がその恋愛についてコメントするシーンがいくつかあったがそれさえなければ個人的にこの映画の評価はもっと良かった。
 
 
 
籠の中の乙女」ヨルゴス・ランティモス監督
家族以外の者からの進入を許さないため白を基調とした画面となっている。監視された生活による性の目覚め。
この監督にしかない武器があるのはよく分かるが観終わっても物足りない印象。
 
 
 
「恋人たち」橋口亮輔監督
傑作「ぐるりのこと」の橋口監督がまた観客たちをそのメッセージ性で突き刺してきた。その新作が「恋人たち」でこれまた素晴らしい傑作。
妻を通り魔に殺害された篠原篤さん演じる男の悲しみが痛いほど伝わる。その男に関わる弁護士の男もある問題を抱えていたりと、この映画に出てくる登場人物はみんな何かしらの悲しみを背負っているのだ。観終わった後、必ず観客たちの心に何かが残り、映画を観終わって実際に現実で生きる周りの人々を見る目が変わってしまう。そんな観客を変えてしまう映画には中々、出会えない。
 
 
 
ボクシングで活躍するジェイク・ラモッタを白黒の映像で哀愁を作り上げる名画となっている。ロバート・デ・ニーロの演技の姿勢についてよく分かる映画であり、プロという言葉をよく考えさせられる。
 
 
 
「この国の空」荒井晴彦監督
戦争が行われる日本で出会った大人になりつつある女ともう十分に大人の男との恋愛。工藤夕貴さんが川で美しい背中を見せているがその美しいシーンと里子と市毛による少しずつ進んでいく熱い恋愛が深く結びついてるように思う。
ラストでは里子が真剣にその恋愛に立ち向かう表情が力強く感じた。
 
 
 
「恐怖の岬」のリメイク。娘と妻と上手くいってなかった夫が嵐の中、服役中の男を娘と妻と再び力を合わせて退治する。戦いの末、離れてしまった娘と妻は再会し泣きながら抱き合う。しかしそこに夫の姿はない。そのとき夫は服役中の男(家族の問題)と向かい合ってその男が最後まで死ぬのを見届けるのだった。サイコスリラーという面を被った映画ではあるが本当は家族の問題を扱った作品であることはよく分かる。
 
 
 
ギルバート・グレイプ」ラッセ・ハムストレム監督
小さな町で問題だらけの家族のうち一番まともであるギルバートグレイプはこの町を出ていきたいと思っているが家族を捨てることができず不満を抱えながら生きている。
その不満をぶつけるように結婚してる年上の女と不倫をしているがヒロインのベッキーと出会い自分の中で退屈だった毎日が少しずつ充実していく。
自分がこの家族を支えなければという思いがジョニー・デップの演技からじわじわと伝わってきて感動。19歳で知的障害を持つ弟を上手く演じるディカプリオも素晴らしい。
 
 
 
 
「恐怖と欲望」スタンリー・キューブリック監督
戦場の途中、女を捕まえた兵隊が見張りを任される。その任されている間に敵が来ることの恐怖と女を襲ってはいけないという欲望が映像と音楽によって効果的に表現。
 
 
 
 
残酷な表現が何度も出てくる。あまりにも悲惨だがこの映画を撮るのなら必要だ。そう観客に思わせる力と説得力がある。事実から目を逸らしてはいけないと2時間半の間、この素晴らしい映画に釘付けだった。
 
 
 
アビエイターマーティンスコセッシ監督
かなりの金を使ってる映画だなと観ていてすぐ分かるスコセッシとディカプリオが組んだ映画。
淡々と金持ちが映画作りと金儲けに付き合わされる時間であり途中から僕は置いてけぼりだった。
 
 
 
「ビリギャル」土井裕泰監督
成績悪いギャルが優秀な塾講師に教えてもらい頭良い大学を目指すという少し時代遅れで安っぽい話をなにも工夫と技術もないまま撮った。ストレートに聞きたい。たくさんのストーリーに触れてきた人たちがこれを観て感動するだろうか?
 
 
 
キューブリックの初期短編映画。
良い意味でどこか違うと思わせる映像でサスペンスを繰り広げる。
映画自体はこの頃まだ大したことない。
 
 
 
「パニックルーム」デヴィッド・フィンチャー監督
ジョディ・フォスター主演で撮ったサスペンス映画。
観客が退屈させないよう考えられた巧みなプロットで続きが気になって面白い。
その人物の選択が本人の未来を大きく変えてしまうラストも良い。
 
 
 
「ザ・ウォーク」ロバート・ゼメキス監督
3Dがなければ少し評価が変わってしまう映画だと思うが綱渡り以外にも緊張感や人間ドラマで魅せるところも多々あった。
やはり9.11を意識せずにはいられず1974年と2001年に起きた事実を本作を観ながら行き来するように思い出す。
 
 
 
「クラッシュ」のように同じ国に住む登場人物たちがそれぞれ繋がっていくという脚本はいくつかあったが「バベル」ではまずそれぞれの国が違うという離れ業をやってのけている。
モロッコとアメリカとメキシコと日本にいる人物たちがサスペンスや心に突き刺さるドラマを見せながらも綺麗に交差していくのだ。
素晴らしいの一言。
 
 
 
「悪い奴ほどよく眠る」黒澤明監督
黒澤作品の中で上位に入るぐらい好き。冒頭から登場人物たちの相関図やストーリーの難しさに付いていくのが精一杯だったのだが観始めていくと徐々に理解していき、その面白さに思わず唸る。西という男がなんとも魅力的で葛藤しながらも復讐している姿がかっこいい。
 
 
 
「BU・SU」市川準監督
上手くいってない母親の元を離れ母親の友達のところで芸者見習いとしてやっていく女子高生の機微を繊細な映像で表現。
心がBU・SUで周りと上手く付き合っていけない主人公の女子高生が可愛らしく素直に良いなと思える80年代の青春映画。
 
 
 
「わが青春に悔なし」黒澤明監督
学生運動に青春を懸ける男女の高校生を描いた前半。
愛する男の元を追って家を離れる女性と父親との別れ。
そのあとに待ち受ける辛い生活をこなす強い女性を撮った後半でまったく別の印象を持つ。
 
 
 
「蘇る金狼」村川透監督
自分の欲しいものは全て一人で手に入れようとする松田優作さん演じる男が様々な手を使いながらたくさんの敵へと立ち向かうハードボイルド映画。
松田優作さんの存在感が光り面白いキャラへと仕上げている。
 
 
 
「ロブスター」ヨルゴス・ランティモス監督
ギリシャのヨルゴス・ランティモス監督の新作は誰しもが抱える恋愛と結婚の問題を生々しいファンタジーとシュールな笑いで味付けされている。
登場人物みんな恋愛と結婚に問題を持ち、愛する人を見つける者、最後まで独身でいると決めた者などが現れ観客たちは自分が現在どういう状態か考えずにはいられない。
女性と長く上手く付き合うにはお互い共通点が必要だとこの映画は示す。
主人公は独身で自分の人生を終わらせたくないと無理矢理、本気で愛する人との共通点を自分に与える。
このラストは美しく新しい角度から撮った恋愛映画にとって特別な余韻を与えた。
 
 
 
貧しい村を舞台に年老いた母親と息子の言葉を交わさなくても通じる愛。
村とそこに生きる人々の生活にリアリティがあり土の匂いを感じる。
日本人にしか撮れないであろう日本人が製作した傑作。
 
 
 
「ブリッジ・オブ・スパイ」スティーブン・スピルバーグ監督
ただ登場人物が喋ってばかりの映画なのに退屈せず緊張感ある映像に仕上げた巨匠の力。
ラストの子供がよじ登るシーンの伏線回収はお見事というほかない。
 
 
 
戦争真っ只中に恋愛と貧困に立ち向かう力強い女を描いたアメリカの大作。
まずこの豪華さ溢れる映画を戦時中に製作できるアメリカが凄い。
やや長さを感じる映画ではあるものの当時の映画を知る機会にちょうど良い。
 
 
 
「イット・フォローズ」デヴィッド・ロバート・ミッチェル監督
若い男女の青春を取り入れたホラー映画。
登場人物を追うカメラの動きが巧みで恐怖が増す演出も上手い。
 
 
 
ラブロマンスとしても十分、素晴らしいのにパニック映画の面白さもしっかり兼ね備えている傑作。
興行収入のランキングを見ればそりゃ、そうだよなと思うしかない。
 
 
 
「魚影の群れ」相米慎二監督
まず登場人物それぞれの関係性が素晴らしい。昔ながらの頑固で漁師が命の父親とその娘。そこに彼氏が漁師になりたいと言ってくる。そして父親と離婚した女との再会。
夜と演歌が似合う街と海の相性がとても良く胸が打たれる。
 
 
 
同じ名字を持った二人の人間が手紙で交流していく恋愛映画。
過去と現在を行き来する見せ方がテンポ良くて面白い。
数分で岩井俊二監督の世界を作り上げる。
余韻があるオチも素晴らしい。
 
 
 
イェンタウンというどこか退廃した街を映画の中で構築し、そこに生きる男女の青春。
韓国、台湾とどこか似てるんだけど違うと思わせるその街の空気が感じ取れる。
岩井俊二監督の中だと1番好きな映画で1番良く出来てるなと思ってます。
 
 
3D技術を初めて駆使して大ヒットを飛ばした記念すべきSF映画。
とにかく自然の中で動き回るアバターが美しく、観客をそこへ行ってみたいと思わせる。
だが映画での登場人物は実際にそこへ行けることを証明しているのだ。
 
 
「グッド・フェローズ」マーティンスコセッシ監督
スコセッシ映画の中でも上位に来る作品でギャングの友情と裏切りを巧みなナレーションと共にハイスピードで繰り広げる。
観客を飽きさせない工夫が積み重ねており僅か2時間半くらいの時間でそのギャングたちの人生全てを知った気になれる。
 
 
マッドマックス 怒りのデスロード」ジョージ・ミラー監督
序盤から終盤までアクション映画のクライマックスがずっと続いていく展開に驚きながらもそのカーアクションの凄さに釘付け。
ストーリーはほとんど無いに等しいにも関わらずアクションだけで観客を満足させてしまうのは素晴らしい。
 
 
フィルムノワールの名作でこの映画の全てが素晴らしい。
この先、何が起こるか分からない展開で観客を飽きさせずオーソンウェルズが下水道の中を逃げ回ったりラストの一本道のような美しくもありながら秀逸な構図で一気に引き込まれる。
影を効果的に使い主人公の切なさやオーソンウェルズの悪者感を際立たせてるのが上手い。
チャップリンがフィルムノワールを撮ったら「第三の男」みたいになるのかな...と妄想を膨らます。
 
 
ブギーナイツ」ポールトーマスアンダーソン監督
ポルノ業界で働く人たちの群像劇。成功した人たちが次々と転落していき、そしてそれと入れ替わるように成功していく人たちもいる。
面白い上にスピード感もあって長さを感じない。
 
 
 
「グッド・ウィル・ハンティング 旅立ち」ガス・ヴァン・サント監督
悲しい過去を背負った天才青年とそれを支えていく教師。
天才青年が様々な出来事にぶつかるたび観客はその主人公に徐々に感情移入していく。自分の人生とを見比べ素直に鑑賞後、自分の中にプラスのものが芽生える。
 
 
地獄の黙示録」フランシスフォードコッポラ監督
ベトナム戦争をアメリカ側の視点で距離感を置いて描写し、その戦場に足を踏み入れるマーロン・ブランドの異質感が光る。
 
 
「マジカルガール」カルロス・ベルムト監督
ストーリーの細かいところまでは語らない省略がやけに多くて面白くなかった。
しかしこの映画全体に含まれている日本とスペインの融合がやけに不気味で狂気的で気持ち悪い世界を作り上げているのは評価すべき点である。
この監督にしかない武器はあるので次回作に期待。
 
 
 
本が禁止された世界を描くSF映画だが突出した何かが足りない。
単純に面白くもなかった。
 
 
 
「カノン」ギャスパー・ノエ監督
何をやっても上手くいかない中年男の独白と共にその男の娘との愛を募らせる。
この頃からギャスパーノエの変わった演出が見られる。
 
 
 
「アレックス」ギャスパー・ノエ監督
時間と映画は反対回りに針を進む。
人間が得られる幸福も過去へと置いていかれそれが絶望へと繋がる。
それは悲劇が起こるまでのカウントダウンとも取れるし主人公の後悔とも取れる。
この映画の最後はまるで作品自体に主人公が乗り移ったかのように必死に時間を戻そうと針を動かしていくのだ。
 
 
主人公の魂はまだ未練があり、この輝いた東京を浮遊する。
その魂は主人公と関わりある登場人物たちを見下ろしてことの顛末を観客に知らせていく。
そしてその魂は輪廻転生へと導かれ新しい人間が誕生するという感動的な繋がりをしていく。
映像は3D映画の強さを知らしめた「アバター」並みの美しさと感動が得られる。
この「エンター・ザ・ボイド」はギャスパーノエの代表作そして傑作と呼んでも間違いない。
そこに新しい映画体験が待っている。

3月2日

2月に観た映画の感想。

 

ブラック・レインリドリー・スコット監督

ヤクザと警察の抗争、登場人物のきゃら立ちが上手い。

舞台となった日本全体を覆う暗さと雨で濡れた地面などの雰囲気は同監督のブレードランナーで既に自分のものにしていたがこの作品でさらに昇華している印象。そして脚本をさらに良いものとしている。

高倉健による日本人警察とマイケル・ダグラスアンディ・ガルシアによる外国人警察の距離の取り方は非常にリアリティがある。松田優作による演技はこの作品で一番素晴らしい。主演よりも良かった。個人的に最後の戦闘が長く感じたブレードランナーよりこのブラックレインのほうがテンポもあってリドリースコットの中で一番素晴らしいと思う。

 

 

「学校」山田洋次監督

まさに金八先生だが映画自体はとても安定した面白さと落ち着いた画面作りで感動する。

田中邦衛西田敏行が焼肉屋で喧嘩するシーンが一番の見せ場で観てるものを高揚させる

 

 

「鳥」アルフレッド・ヒッチコック監督

鳥から避難するとき普通に学校にいたほうが良かったんじゃない?と思ったりもしたが人間関係の複雑さにサスペンスを取り入れるのはさすが。

ラストは放り投げたように感じて残念。

 

 

ユージュアル・サスペクツブライアン・シンガー監督

当時は絶賛されていたとおもうが今の時代では何もかもありふれたものだ。

展開はパッとしない。構成はテンポを悪くしている。

 

 

 

「ハートブロッカー」Scott Prendergast監督

コメディ要素がありつつも実はとても深いドラマをバレないように撮っていて素晴らしい。

見せ方も上手い。素直にこの監督の次の作品が観たいと思える。

 

 

「キャロル」トッド・ヘインズ監督

絵画的な映画で綺麗な画面作りで行われるまだ若者の女の子と年上の女性による恋愛を基本静かに描いていて時に激しく。その相性が非常によく合っている。

普通の恋愛映画のようではあるがキャロルでしか描けない恋愛を撮っている。

 

 

 

ハッピーフライト矢口史靖監督

航空機で働く人に焦点を当てた群像劇。

抜群に面白いというわけではない。グラフの線の上をエンディングまでずっと辿っている。決してその線が上まで跳ね上がったり下降することもない。

 

 

 

「コード・アンノウン」ミヒャエル・ハネケ監督

緻密に描かれた登場人物による群像劇で演出のやり方がミヒャエルハネケにしか出来ない。ドラムロールによる切迫感溢れる音楽。観客に自分はどうだろうか?と自らの人生を振り返らせる。

 

 

 

「アイコ十六歳」今関あきよし監督

最後の最後で主人公アイコが好きだった男がバイク事故で死んでしまう。(今まで爽やかだったのがなぜか腕がもげてるグロテスクなものを映す)

、悲しみに暮れるアイコはたくさんの友達のおかげもありまた元通り笑顔で元気に過ごすところで終わるが少し無理がある。

 

 

 

ドラゴン・タトゥーの女」デヴィッドフィンチャー監督

濃厚なサスペンスにずっと釘付け。危険な生活の上で行われるラブロマンス。このバランスの良さ。今までにないタイプのサスペンス映画を撮るあたりデヴィッド・フィンチャーは本当に素晴らしい監督だと思う。サスペンスだけではなくソーシャルネットワークのような映画を撮ることにも長けている。本当に好きですこの監督。

 

 

 

 

「ヘイトフル・エイト」クエンティン・タランティーノ監督

レザボアドッグスの西部版。

登場人物が嘘をつきまくり騙し合い殺し合うというタランティーノらしい映画で相変わらず面白い。しかしレザボアドッグスのように最後にひねりが必要だった。ヘイトフルエイトにはそれがない。レザボアドッグスにはヘイトフルエイトのように嘘をつきまくり騙し合い殺し合い、最後のひねりがあった。だから傑作と呼ばれている。

 

 

 

ノーカントリーコーエン兄弟

人々の生活に死は音も立てずにやってくる。今日、死ぬかもしれないし明日、死ぬかもしれない。

死そのものがシガー。

なので「ノーカントリー」は物語世界外音響を一切、無くしているんだろう。とんでもない傑作。

 

 

 

「セブン」デヴィッド・フィンチャー監督

ブラッドピット、モーガンフリーマンの関係性が良い。サスペンス映画の王道を行きながらも面白い。モーガンフリーマンの落ち着いた演技に負けじとブラッドピットの演技も良くてクライマックスで激昂するシーンは素晴らしくて思わず繰り返し観る。そのシーンの途中でブラッドピットの妻の生首が一瞬、パッと映るのも最高。

脚本の後味は悪いが映画自体は素晴らしいので結果的に俺はハッピーエンド。

 

 

 

近松物語」溝口健二監督

二人の男と女が法によって処刑されるまでの逃避行。

そこで死を恐れるのではなく、死が訪れるまでお互い愛そうとしたのだと思う。

暗く切ない話だが縛られた二人の表情は非常に印象的で幸福に満ちていた。

しかし黒澤明と比べると画面が静かで退屈。

2月7日

中学生ぐらいまでのとき同じ学校に通う喋ったこともない女子が親が離婚したとかで苗字が変わった。その子の様子を見てるといつも通り元気でいつも通り友達と楽しそうに喋ってた。

親が離婚して辛いけど学校とか友達の前では隠してるのかなとかその辛いということを俺に相談するっていう妄想をめちゃくちゃした。

あと学校でスカートではなく男子の制服であるズボンを履いて登校してる女子もいて、ある日、その理由を俺にだけ話してくれるという妄想もした。

 

ボディータッチが多い女の子をよく好きになってしまう。可愛い女の子にボディータッチされると嬉しいけど、どういう反応していいか分からない。

 

女子が男子に言う「可愛い」はそろそろ愛の告白として受け取っていいと思う。

 

松岡ちなさんは素晴らしい女優だと思う。まだデビューから一年目なのに演技が上手い。間違いなくスカパーアダルト放送大賞2016で新人女優賞を受賞するに違いない。

 

1月の映画

イニシエーション・ラブ」・・・堤幸彦監督

原作を遥かに超えていて木村文乃さんの演技が一際、輝きラストの仕掛けもよく効いていた。しかし過去にあった古臭いラブストーリーをそのまんま持ってきたかのような展開でほぼ全編、非常に退屈だった。

これは原作でもそうだったので映画では直ってるのかなーと思ってたんですが残念。

 

「クラッシュ」・・・ポール・ハギス監督

差別問題と警察官の描き方がまさにアメリカそのもので好感を持てた。

様々な人間たちが登場し様々なドラマを描いていくがその見せ方がとても上手く何度か胸が締め付けられるようなシーンもあって素晴らしい。

 

スターウォーズ エピソード7 フォースの覚醒」・・・J・J・エイブラムス監督

実はスターウォーズ初体験。最初はいきなりエピソード7から見てストーリー分かるかな?と不安だったけど新章ということもありまったく問題なかった。名前忘れたけどあの敵が着てる白いアーマーみたいなのが意外とチープで驚いた。もっと未来感あるものにしろ!という意見もあると思うけど逆にああいうアーマーを見るとなんか映画に関わってる人たちと観客の距離が良い意味で近付いた気がして自分は好きっス。

映画自体は結構、面白かったけどこの後、全部のシリーズ見るかって言われたら見ないかな~・・・笑

子供の頃だったら見てたかもしんないけど僕はもうこういうありきたりなアクションにはもう興味がなくなってしまった。

 

リトル・ミス・サンシャイン」・・・ジョナサン・デイトン&ヴァレリー・ファリス監督

少し問題のある家族と母親の弟が混ざって絆を深めようとするロードームービー映画。

シリアスな話の間にコメディがバランス良く入っていて結構、面白かった。

キャラクターも非常に個性的で愛着が湧いてくる。ヘンテコなダンスで家族みんな踊るという意外なところでみんなが一つになるというのも面白い。

 

「COBAIN モンタージュ・オブ・ヘック」・・・ブレット・モーゲン監督

結構、期待してたけど・・・う~ん、まあ、こんなもんか。

唯一、良かったシーンはカート・コバーンコートニー・ラヴが仲良く一緒に薬やって痙攣しながら喋ってるところ。

 

マルホランド・ドライブ」・・・デヴィッド・リンチ監督

 正直、「イレイザーヘッド」「ブルーベルベット」が好きな身としてはこの作品にはがっかり。登場人物が妄想を見て話を進めていく映画でデヴィッドリンチの特徴でもあるイカれた展開がもっと見れると思いきや意外にこの映画では消極的だった。

まあ女性が自慰行為するシーンあるけどもっとすごい展開出来るでしょ?と思いながら見てた。もっと面白くしてほしかった。

 

惑星ソラリス」・・・アンドレイ・タルコフスキー監督。

「『惑星ソラリス』は『2001年 宇宙の旅』への回答か・・・なるほど、面白そうだなと思いTSUTAYAで手に取った映画。

死んでしまった妻と主人公が宇宙船?で再会してラブロマンスが繰り広げられるという内容で中盤ぐらいからはもう退屈。

観終わった感想としては、「あ~、こりゃ『2001年 宇宙の旅』のほうが面白い。やっぱあの映画は偉大だな。なんつったってキューブリックだもんな」と改めて感じさせてくれたことがこの映画の回答なんだろう。

 

ナポレオン・ダイナマイト」・・・ジャレッド・ヘス監督

本当につまらなかった。始まりから終わりまでずっとつまらなかった。

この映画が90分くらいで本当に助かった。

 

プロジェクトX」・・・トッド・フィリップス監督。

とにかくワンパターンすぎる。もっと登場人物たちを掘り下げてほしい。

 

ティファニーで朝食を」・・・ブレイク・エドワーズ監督。

とにかく女の子が好きそうな映画。

僕は特に何も響かなかったです。

2015年 北橋映画賞&年間ベストアルバム

2015年に観た映画で一番良かった映画。

北橋映画賞。

 

「マイ・マザー」 グサヴィエ・ドラン監督

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「ゴーン・ガール」 デヴィッド・フィンチャー監督

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「転校生」 大林宣彦監督。

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「超能力研究部の3人」 山下敦弘監督

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2015年 Best Album

 

【1】depression cherry / Beach House

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【2】The Magic Whip / Blur

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【3】Sometimes I Sit and Think, and Sometimes I Just Sit / Courtney Barnett

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【4】THE BAY / Suchmos

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【5】Vega Intl. Night School / Neon Indian

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【6】Prom King / Skylar Spence

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【7】Speakerzoid / The Jungle Giants

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【8】POSITIVE / Tofubeats

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【9】C2 / Base Ball Bear

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【10】Heart Wire Tapping / HASAMI group

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12月2日

・他人同士が映画館へ集まり一つの作品を共有する。

時々、笑い声や驚きの声などが漏れたとき、まるで仲の良い友人にでもなったみたいな親近感が湧く。

もっと映画行きたいけど自分が観たいと思う作品が友達にとっては観たくない作品のことが多いので辛い。そしたら一人で行けよって話なんですが、やっぱ映画終わりにすぐ感想話し合いたい。

けどデートで映画観に行って鑑賞後、「微妙だったね」って俺が言ったら彼女は「えっ?面白かったじゃん・・・」って言っちゃったら、ちょっと気まずいね。それは二人の好みが合ってないってことだからね。まあ、お互い創作してる人だったら「いや、ここはこうだからああなって~」って熱い討論を交わせるだろうけど普通の女の子だったらまず泣くよね。

だって俺が相手に気遣いながらも創作してる身でもあるから嘘はつけないので正直に「・・・となりのトトロめっちゃつまんなかったね」って純粋な女の子に言ったら最悪でしょ。こんな彼氏、引くでしょ。

なのでそこは正直に「となりのトトロめっちゃ面白かったね!」ってとりあえず嘘でもいいから褒める。とりあえず全部、褒めとけばOK。鑑賞後って大体、「面白かったね~」で始まるから(多分)

 

・Mなのでヤンデレの女がナイフで男を脅しながら誘惑するという内容のAVを見つけた。すぐに傑作の予感がした。

期待しながら観てみるとナイフを持った女が「愛してくれなきゃ刺すよ・・・?」などと言いながら男の性器をいじくりまわしていて、まさにホラー映画を観ている気分になり、まったく興奮することが出来なかった。

このとき自分はまだまだライトなMなんだなと気付かされた。これを観て興奮出来るのは自分よりもっと上なヘビーなMなんだろう。

 

・六月、月刊スピリッツに初めて自分の漫画が載ってからもうほぼ半年が過ぎた。

読者による評価がいまいち良かったのかどうかは担当さんにあえて聞いてないのでよく分からないがネームを描き続け送ってはボツ。ネームを描いて送って担当さんからこれで行きましょうと言われそのネームを修正するが結局、変な方向に行ってしまってボツになる・・・の繰り返しです。

なんていうかデビュー前の状況に戻ったな~という感じです。デビュー前もこうやって何度もネーム描いては送り続けてた。

話変わりますがデビューしたあと消えてしまう漫画描きがほとんどらしいです。僕もその中の一人だなーという感じです。けどそのことに楽観視してる自分がいるので意外です。

恐らくこのあと駄目なネームを送り続けてこいつデビューしてから駄目だな~ってなったら切られちゃうと思うのでそのときは別の雑誌に行こう。なので今はスピリッツに気に入ってるネームを送り続けるだけだ。

早く連載会議に出せるようになりたいな。とにかく連載!連載が欲しいね。

 

・帰ってるとき、そういえば授業がある日は絶対、友達とエロい話してるなーと気が付く。なぜだ?俺が悪いのか?それとも友達か?

・・・まあ、気のせいやな。

 

 

「6才のボクが、大人になるまで。」・・・リチャード・リンクレイター監督。

この監督はメッセージ性があれば別にエンタメ要素を無くしても大丈夫だろうと思って撮ったのか?

そのせいでこの映画は二時間半ぐらいあるにも関わらず非常に退屈な作品に出来上がっている。観客に深く考えさせようとばかりしていて楽しませようとは一切、していない。

 

「マイ・マザー」・・・グザヴィエ・ドラン監督。

ほとんどの人が経験したことがある母親との確執を描いた映画でこの作品を若干20歳で撮ったことに驚愕。

やはり映像のセンスは素晴らしいが脚本自体も申し分ない出来。個人的にグザヴィエ・ドラン作品の中でもお気に入りの作品で今年観た映画の年間ベストに入る。

 

「胸騒ぎの恋人」・・・グザヴィエ・ドラン監督。

いかにもトリュフォーらしい作品で本人が観たら悔しがるのではないだろうか。

普通は女1人を中心にして男2人が取り合う三角関係が多いとは思うが、これはゲイの男と女が美青年を奪い合うという形で珍しい。だがそれ以外は普通の恋愛映画なのにセンスという言葉だけで映画の中に惹きこまれてしまう。

 

バクマン。」・・・大根仁監督。

大根監督といえば「恋の渦」が凄く良かったんで「バクマン。」にも期待して観た。

原作から必要なところだけを切り取って展開は良くまとまっているし、小松菜奈演じるヒロインとの恋愛も甘酸っぱくて個人的に好きです。

だけど中盤のよく分からないバトルシーン。あれは本当にいらなかった。

そしてやっぱり主人公の二人。配役が逆の方が合っていたのでは・・・?

 

ジャンゴ 繋がれざる者」・・・クエンティン・タランティーノ監督。

西部劇を撮りたかったから撮った、という感じなんでしょうが正直、今の時代に合せようとする仕掛けがあまり感じられずイマイチだった。

昔の西部劇映画でもありそうな脚本。タランティーノにしては珍しく力が感じられない。長く感じた。

 

リンダ リンダ リンダ」・・・山下敦弘監督。

この監督が撮った「天然コケッコー」「超能力研究部の3人」そして「リンダリンダリンダ」を観た感じ本当にこの監督は見せ方が非常に上手い。

韓国人留学生役のペ・ドゥナが文化祭前日に誰もいない体育館の舞台に一人立ってリハーサルをする姿。たどたどしい日本語でメンバー紹介とかをちょっとふざけた感じでやる。これが本当にキュートで良いシーンです。

そして文化祭に向けてみんなで練習をする姿をドアが開いた部室からちょっと離れて撮っている。こうすることによって学生時代が終わった観客に「あー、楽しそうに練習してんなー。こんな青春、羨ましいなー」と振り返らせるようにしてる。

文化祭当日、主人公たちのバンドが他の出演者よりも演奏で盛り上がってるシーンと大雨で誰もいなくて少し暗くて寂しい学校の教室とか校庭を交互に入れることによってモラトリアムが少しずつ終わりに近づいていることを表現している。

これはただの青春映画ではない。

 

「恐怖分子」エドワード・ヤン監督
単調な生活かそうでない生活どちらがいいか問われたら「そうでない生活」と俺は答える。
この「恐怖分子」の小説家の妻も流産をきっかけに小説が書けなくなり環境の変化を求め、夫を残し家を出て行く。
その物語とは別にカメラマンの男はある日不良少女が事件に巻き込まれているところを撮影して以来、その不良少女のことが気になり不良少女が入院しているという病院を訪ね交流を深めるが女は別の男とバイクに乗って去ってしまう。
まるでよくあるラブストーリーをそのまま描いた展開。
そう、こちらが小説家の妻が求めていた「そうでない生活」で、「単調な生活」を求めていたのが不良少女だったのだ。
どこか不気味とも言える独特な雰囲気に極力、不必要なシーンを省いているのがこの傑作の相性に非常に合っていた。
 
「オン・ザ・ハイウェイ その夜、86分」スティーヴン・ナイト監督。
とても完成度の高い密室劇で急ぐ車と共に話もノンストップで突き進む。
展開もよく考えられており気が付けば映画に入り込んでいてエンディングを迎えるのが早く感じた。
 
「SOMEWHERE」ソフィア・コッポラ監督。
孤独な俳優を主人公にした「ロスト・イン・トランスレーション
「SOMEWHERE」では俳優の男が離婚した妻との娘と限られた時間、一緒に過ごすところを撮っているのだが、この両作品アイデア自体が似ているのでほとんど同じような映画。
本当に何も起こらない映画なので、これでは監督が何も思いつかなかったのかと感じてしまう。
唯一の評価点は俳優の娘が可愛かったことと結婚して子供が欲しくなったことだけだ。
 
「バードマン あるいは(無知がもたらす予期せぬ奇跡)」アレハンドロ・ゴンサレス・イニャリトゥ監督。
本当に素晴らしい。高い撮影技術で舞台に関わる人たちそれぞれに焦点を当てており、まさに「アメリカの夜」を彷彿とさせる。
脚本の出来も申し分ない。傑作だ。
 
愛を読むひと」スティーブン・ダルドリー監督。
非常にシリアスなラブストーリーでメッセージ性がとても強い。
マイケルとハンナによる純愛、残酷さがとても伝わってくる。
 
前半は少年が大人の女性に恋する様子を撮り、後半では夫を亡くしたマレーナが金銭的な理由から男たちに体を売るが街の女たちからボコボコにされるという明るかった前半とは全く違う暗い展開。
この前半と後半ではあまりにも相性が悪い。
ジュゼッペ・トルナトーレ監督はボコボコにされる女性をそんなに撮りたかったのだろうか?僕が観た感じ全くいらないので前半のような明るいコメディタッチで撮ってほしかった。

 

 

10月23日

 

どですかでん黒澤明

色彩感覚が素晴らしい。登場人物がイカれてるのも好き。だけどもつまらなさすぎる。
 
面白いが後半少しダレる。
「ロリータ」のアクション版といったところ。
 
オルゴールの陽気な音楽とその場で起きてる悲哀の対比。迫力ある構図が秀逸。
ただ松永の死に方があまりにもあっさりしてて違和感が・・・
 
さらば青春の光」フランク・ロダム 
無駄に長い。
似たような展開が繰り返されてるので飽きてしまう・・・主人公が事故を起こすシーンはギャグで笑った。
 
中盤くらいまで良かったが最終決戦は少し長くレイチェルの最後も都合が良すぎる。
しかし映像センス、デッカードとレイチェルのキスシーンは素晴らしい。
 
静を映した大人時代と動を映した子供時代の対比が美しい。
一般人たちの生活に非常に距離感が近く共感する。
 
登場人物たちが受けてきたそれぞれ違う教育から起きる行動の関係性。
そして外国人が撮ったとは思えないほど日本らしいリアリティある映画。
女と爺さんが自分たちの秘密を握りしめたまま家の中に隠れるが加瀬亮さん演じる男によってそれが見破られる。
 
「さよなら歌舞伎町」廣木隆一
   
東北の震災の悲しみと東京の歌舞伎町という遠く離れた街の悲しみを上手くリンクさせている。
他の登場人物のキャラも立っておりそれぞれの過去もよく描けている。
しかしイリアが同じ韓国人でカタコトの日本語なのにすぐ恋人だと気付かない、恋人という設定で不倫をしていたことにすればいいのにそこまで思考が働かない警察など少し頭の悪さが露呈してるが・・・。
 
「嗤う分身」リチャード・アイオアディ監督
ドストエフスキー原作ということもあり、かなり良い設定なんだが映画ではどうにも活かしきれてない。 
優秀な監督が撮ればもっと良い作品になりそうで非常にもったいない。
 
タランティーノらしさ全開の映画で飽きることなくあっという間にエンディングを迎えた。
暴力、笑い、恋愛とストーリー展開がどれも違和感なくマッチしており、監督の個性を遺憾なく発揮した傑作。
 
「フット・ノート」ヨセフ・シダー監督。
息子が選考委員たちと話し合うシーンはとても緊張感があり面白く観ることができた。
だがラストは父と息子の問題をうやむやにして終わらせたような気がしてならずこれが最適な結末だとは到底、思えない。
 
「アメリカン・スナイパー」クリント・イーストウッド監督。
戦場で活躍する伝説のスナイパーが妻と子供に囲まれ過ごす日常とのバランスが上手い。
敵の命を奪い続け、仲間の死を間近で見てきた兵士が普通の人間に戻ったとき、どのような変化が起きるかを観客に訴えかける。
 
「超能力研究部の3人」山下敦弘監督。
鑑賞前、クソつまんないアイドル映画かなと思ってたんですが舐めてました。
これはフェイクドキュメンタリーの傑作。
主演はアイドルグループ乃木坂46で活躍する女の子3人なのだが、とにかくこの子たちが監督に怒られながらも演技を頑張ったり、演技が下手な女の子が上手いと言われてる女の子にアドバイスされて喧嘩しちゃったりと本当に見せてくれる。もちろんこれらは全部、ドキュメンタリーのように見せかけた嘘なのだが、中には本当のこともあるのかな?と観客をそわそわさせる。
映画自体は「面白い」のだが、その前に「上手すぎる」という感想のほうが先に出てくる。どうしたらこんな演技、俳優、女優から撮れるのか・・・これを引き出せる監督の凄さ。尊敬します。