創作と生活

主に映画の感想を書いてます。

3月2日

2月に観た映画の感想。

 

ブラック・レインリドリー・スコット監督

ヤクザと警察の抗争、登場人物のきゃら立ちが上手い。

舞台となった日本全体を覆う暗さと雨で濡れた地面などの雰囲気は同監督のブレードランナーで既に自分のものにしていたがこの作品でさらに昇華している印象。そして脚本をさらに良いものとしている。

高倉健による日本人警察とマイケル・ダグラスアンディ・ガルシアによる外国人警察の距離の取り方は非常にリアリティがある。松田優作による演技はこの作品で一番素晴らしい。主演よりも良かった。個人的に最後の戦闘が長く感じたブレードランナーよりこのブラックレインのほうがテンポもあってリドリースコットの中で一番素晴らしいと思う。

 

 

「学校」山田洋次監督

まさに金八先生だが映画自体はとても安定した面白さと落ち着いた画面作りで感動する。

田中邦衛西田敏行が焼肉屋で喧嘩するシーンが一番の見せ場で観てるものを高揚させる

 

 

「鳥」アルフレッド・ヒッチコック監督

鳥から避難するとき普通に学校にいたほうが良かったんじゃない?と思ったりもしたが人間関係の複雑さにサスペンスを取り入れるのはさすが。

ラストは放り投げたように感じて残念。

 

 

ユージュアル・サスペクツブライアン・シンガー監督

当時は絶賛されていたとおもうが今の時代では何もかもありふれたものだ。

展開はパッとしない。構成はテンポを悪くしている。

 

 

 

「ハートブロッカー」Scott Prendergast監督

コメディ要素がありつつも実はとても深いドラマをバレないように撮っていて素晴らしい。

見せ方も上手い。素直にこの監督の次の作品が観たいと思える。

 

 

「キャロル」トッド・ヘインズ監督

絵画的な映画で綺麗な画面作りで行われるまだ若者の女の子と年上の女性による恋愛を基本静かに描いていて時に激しく。その相性が非常によく合っている。

普通の恋愛映画のようではあるがキャロルでしか描けない恋愛を撮っている。

 

 

 

ハッピーフライト矢口史靖監督

航空機で働く人に焦点を当てた群像劇。

抜群に面白いというわけではない。グラフの線の上をエンディングまでずっと辿っている。決してその線が上まで跳ね上がったり下降することもない。

 

 

 

「コード・アンノウン」ミヒャエル・ハネケ監督

緻密に描かれた登場人物による群像劇で演出のやり方がミヒャエルハネケにしか出来ない。ドラムロールによる切迫感溢れる音楽。観客に自分はどうだろうか?と自らの人生を振り返らせる。

 

 

 

「アイコ十六歳」今関あきよし監督

最後の最後で主人公アイコが好きだった男がバイク事故で死んでしまう。(今まで爽やかだったのがなぜか腕がもげてるグロテスクなものを映す)

、悲しみに暮れるアイコはたくさんの友達のおかげもありまた元通り笑顔で元気に過ごすところで終わるが少し無理がある。

 

 

 

ドラゴン・タトゥーの女」デヴィッドフィンチャー監督

濃厚なサスペンスにずっと釘付け。危険な生活の上で行われるラブロマンス。このバランスの良さ。今までにないタイプのサスペンス映画を撮るあたりデヴィッド・フィンチャーは本当に素晴らしい監督だと思う。サスペンスだけではなくソーシャルネットワークのような映画を撮ることにも長けている。本当に好きですこの監督。

 

 

 

 

「ヘイトフル・エイト」クエンティン・タランティーノ監督

レザボアドッグスの西部版。

登場人物が嘘をつきまくり騙し合い殺し合うというタランティーノらしい映画で相変わらず面白い。しかしレザボアドッグスのように最後にひねりが必要だった。ヘイトフルエイトにはそれがない。レザボアドッグスにはヘイトフルエイトのように嘘をつきまくり騙し合い殺し合い、最後のひねりがあった。だから傑作と呼ばれている。

 

 

 

ノーカントリーコーエン兄弟

人々の生活に死は音も立てずにやってくる。今日、死ぬかもしれないし明日、死ぬかもしれない。

死そのものがシガー。

なので「ノーカントリー」は物語世界外音響を一切、無くしているんだろう。とんでもない傑作。

 

 

 

「セブン」デヴィッド・フィンチャー監督

ブラッドピット、モーガンフリーマンの関係性が良い。サスペンス映画の王道を行きながらも面白い。モーガンフリーマンの落ち着いた演技に負けじとブラッドピットの演技も良くてクライマックスで激昂するシーンは素晴らしくて思わず繰り返し観る。そのシーンの途中でブラッドピットの妻の生首が一瞬、パッと映るのも最高。

脚本の後味は悪いが映画自体は素晴らしいので結果的に俺はハッピーエンド。

 

 

 

近松物語」溝口健二監督

二人の男と女が法によって処刑されるまでの逃避行。

そこで死を恐れるのではなく、死が訪れるまでお互い愛そうとしたのだと思う。

暗く切ない話だが縛られた二人の表情は非常に印象的で幸福に満ちていた。

しかし黒澤明と比べると画面が静かで退屈。