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創作と生活

主に映画の感想を書いてます。

4月16日

3月に観た映画
 
「ファーゴ」コーエン兄弟監督
善と悪は常に隣り合わせで誰しもがそのどちらかに向かう可能性がある。
悪人になった人間を相手に仕事する婦警がもっとも安心するのは寝る前、ベッドに入るときだけ。
夫が描いた絵が切手の絵柄に採用され2ヶ月後に出産予定の婦警は心配そうな表情で二人肩を寄せ合い不安な未来へと生きていく。
 
 
 
英国王のスピーチ」トム・フーバー監督
後半からはテンポが悪い。だれる。長く感じる。
観る前から最後、主人公が上手くなったスピーチを国民の前で行うということは誰もが分かること。だがこの映画ではそこに喜劇王が演じた独裁者のように狂気迫るスピーチをコリン・ファースがするでもなく、かといって感動するわけでもない。
 
 
 
輝かしいカジノを中心に生きる人々を描いているがちゃんと裏も忘れていない。目まぐるしい展開でカジノのように観客を楽しませ飽きさせない。しかしカジノには成功の側に常に危険が伴っており、チンピラからカジノで成功したロバート・デ・二ーロ演じる男がそれを破壊的な美しさで表現。
 
 
 
女性の側面を持つ男が自分とは正反対で強い男のタイラーと出会いファイトクラブというストレスを持った男だけが集まりただひたすら1対1で殴り合うクラブを作る。性別の壁、ゲイ、レズなどにも通ずる問題をアクションで立ち向かう姿勢が素晴らしい。アイデンティティーを問う中々ないタイプの映画。
 
 
 
地雷除去する主人公の映画にしては基本的に退屈だった。地雷ということもあり、映画全体を静かにしているのだろうが観ていて自分が予想することが映画の中でもそのまま起きていた。自分の中での期待値を超えることはなく平凡な作品。
 
 
 
いかにも日本で作ったとても日本らしい映画で日本の美しさを四姉妹が過ごす街と共に映す。大人しい状態の海のように静かに過ごす家族でありながら時々、起こる小さな波という事件に巻き込まれる四姉妹。
久し振りに良い邦画を観たという気持ち。
 
 
 
テラスハウス クロージング・ドア」前田真人監督
一つ屋根の下で共に生活するリアルな若者たちの等身大の恋愛。上手くいかなかったとき恋愛は何周期で回ってくるのか?上手くいけばその家を出て行き、上手くいかない場合はそのまま自分という家に閉じこもることになるかもしれない。第三者がその恋愛についてコメントするシーンがいくつかあったがそれさえなければ個人的にこの映画の評価はもっと良かった。
 
 
 
籠の中の乙女」ヨルゴス・ランティモス監督
家族以外の者からの進入を許さないため白を基調とした画面となっている。監視された生活による性の目覚め。
この監督にしかない武器があるのはよく分かるが観終わっても物足りない印象。
 
 
 
「恋人たち」橋口亮輔監督
傑作「ぐるりのこと」の橋口監督がまた観客たちをそのメッセージ性で突き刺してきた。その新作が「恋人たち」でこれまた素晴らしい傑作。
妻を通り魔に殺害された篠原篤さん演じる男の悲しみが痛いほど伝わる。その男に関わる弁護士の男もある問題を抱えていたりと、この映画に出てくる登場人物はみんな何かしらの悲しみを背負っているのだ。観終わった後、必ず観客たちの心に何かが残り、映画を観終わって実際に現実で生きる周りの人々を見る目が変わってしまう。そんな観客を変えてしまう映画には中々、出会えない。
 
 
 
ボクシングで活躍するジェイク・ラモッタを白黒の映像で哀愁を作り上げる名画となっている。ロバート・デ・ニーロの演技の姿勢についてよく分かる映画であり、プロという言葉をよく考えさせられる。
 
 
 
「この国の空」荒井晴彦監督
戦争が行われる日本で出会った大人になりつつある女ともう十分に大人の男との恋愛。工藤夕貴さんが川で美しい背中を見せているがその美しいシーンと里子と市毛による少しずつ進んでいく熱い恋愛が深く結びついてるように思う。
ラストでは里子が真剣にその恋愛に立ち向かう表情が力強く感じた。
 
 
 
「恐怖の岬」のリメイク。娘と妻と上手くいってなかった夫が嵐の中、服役中の男を娘と妻と再び力を合わせて退治する。戦いの末、離れてしまった娘と妻は再会し泣きながら抱き合う。しかしそこに夫の姿はない。そのとき夫は服役中の男(家族の問題)と向かい合ってその男が最後まで死ぬのを見届けるのだった。サイコスリラーという面を被った映画ではあるが本当は家族の問題を扱った作品であることはよく分かる。
 
 
 
ギルバート・グレイプ」ラッセ・ハムストレム監督
小さな町で問題だらけの家族のうち一番まともであるギルバートグレイプはこの町を出ていきたいと思っているが家族を捨てることができず不満を抱えながら生きている。
その不満をぶつけるように結婚してる年上の女と不倫をしているがヒロインのベッキーと出会い自分の中で退屈だった毎日が少しずつ充実していく。
自分がこの家族を支えなければという思いがジョニー・デップの演技からじわじわと伝わってきて感動。19歳で知的障害を持つ弟を上手く演じるディカプリオも素晴らしい。
 
 
 
 
「恐怖と欲望」スタンリー・キューブリック監督
戦場の途中、女を捕まえた兵隊が見張りを任される。その任されている間に敵が来ることの恐怖と女を襲ってはいけないという欲望が映像と音楽によって効果的に表現。
 
 
 
 
残酷な表現が何度も出てくる。あまりにも悲惨だがこの映画を撮るのなら必要だ。そう観客に思わせる力と説得力がある。事実から目を逸らしてはいけないと2時間半の間、この素晴らしい映画に釘付けだった。
 
 
 
アビエイターマーティンスコセッシ監督
かなりの金を使ってる映画だなと観ていてすぐ分かるスコセッシとディカプリオが組んだ映画。
淡々と金持ちが映画作りと金儲けに付き合わされる時間であり途中から僕は置いてけぼりだった。
 
 
 
「ビリギャル」土井裕泰監督
成績悪いギャルが優秀な塾講師に教えてもらい頭良い大学を目指すという少し時代遅れで安っぽい話をなにも工夫と技術もないまま撮った。ストレートに聞きたい。たくさんのストーリーに触れてきた人たちがこれを観て感動するだろうか?
 
 
 
キューブリックの初期短編映画。
良い意味でどこか違うと思わせる映像でサスペンスを繰り広げる。
映画自体はこの頃まだ大したことない。
 
 
 
「パニックルーム」デヴィッド・フィンチャー監督
ジョディ・フォスター主演で撮ったサスペンス映画。
観客が退屈させないよう考えられた巧みなプロットで続きが気になって面白い。
その人物の選択が本人の未来を大きく変えてしまうラストも良い。
 
 
 
「ザ・ウォーク」ロバート・ゼメキス監督
3Dがなければ少し評価が変わってしまう映画だと思うが綱渡り以外にも緊張感や人間ドラマで魅せるところも多々あった。
やはり9.11を意識せずにはいられず1974年と2001年に起きた事実を本作を観ながら行き来するように思い出す。
 
 
 
「クラッシュ」のように同じ国に住む登場人物たちがそれぞれ繋がっていくという脚本はいくつかあったが「バベル」ではまずそれぞれの国が違うという離れ業をやってのけている。
モロッコとアメリカとメキシコと日本にいる人物たちがサスペンスや心に突き刺さるドラマを見せながらも綺麗に交差していくのだ。
素晴らしいの一言。
 
 
 
「悪い奴ほどよく眠る」黒澤明監督
黒澤作品の中で上位に入るぐらい好き。冒頭から登場人物たちの相関図やストーリーの難しさに付いていくのが精一杯だったのだが観始めていくと徐々に理解していき、その面白さに思わず唸る。西という男がなんとも魅力的で葛藤しながらも復讐している姿がかっこいい。
 
 
 
「BU・SU」市川準監督
上手くいってない母親の元を離れ母親の友達のところで芸者見習いとしてやっていく女子高生の機微を繊細な映像で表現。
心がBU・SUで周りと上手く付き合っていけない主人公の女子高生が可愛らしく素直に良いなと思える80年代の青春映画。
 
 
 
「わが青春に悔なし」黒澤明監督
学生運動に青春を懸ける男女の高校生を描いた前半。
愛する男の元を追って家を離れる女性と父親との別れ。
そのあとに待ち受ける辛い生活をこなす強い女性を撮った後半でまったく別の印象を持つ。
 
 
 
「蘇る金狼」村川透監督
自分の欲しいものは全て一人で手に入れようとする松田優作さん演じる男が様々な手を使いながらたくさんの敵へと立ち向かうハードボイルド映画。
松田優作さんの存在感が光り面白いキャラへと仕上げている。
 
 
 
「ロブスター」ヨルゴス・ランティモス監督
ギリシャのヨルゴス・ランティモス監督の新作は誰しもが抱える恋愛と結婚の問題を生々しいファンタジーとシュールな笑いで味付けされている。
登場人物みんな恋愛と結婚に問題を持ち、愛する人を見つける者、最後まで独身でいると決めた者などが現れ観客たちは自分が現在どういう状態か考えずにはいられない。
女性と長く上手く付き合うにはお互い共通点が必要だとこの映画は示す。
主人公は独身で自分の人生を終わらせたくないと無理矢理、本気で愛する人との共通点を自分に与える。
このラストは美しく新しい角度から撮った恋愛映画にとって特別な余韻を与えた。
 
 
 
貧しい村を舞台に年老いた母親と息子の言葉を交わさなくても通じる愛。
村とそこに生きる人々の生活にリアリティがあり土の匂いを感じる。
日本人にしか撮れないであろう日本人が製作した傑作。
 
 
 
「ブリッジ・オブ・スパイ」スティーブン・スピルバーグ監督
ただ登場人物が喋ってばかりの映画なのに退屈せず緊張感ある映像に仕上げた巨匠の力。
ラストの子供がよじ登るシーンの伏線回収はお見事というほかない。
 
 
 
戦争真っ只中に恋愛と貧困に立ち向かう力強い女を描いたアメリカの大作。
まずこの豪華さ溢れる映画を戦時中に製作できるアメリカが凄い。
やや長さを感じる映画ではあるものの当時の映画を知る機会にちょうど良い。
 
 
 
「イット・フォローズ」デヴィッド・ロバート・ミッチェル監督
若い男女の青春を取り入れたホラー映画。
登場人物を追うカメラの動きが巧みで恐怖が増す演出も上手い。
 
 
 
ラブロマンスとしても十分、素晴らしいのにパニック映画の面白さもしっかり兼ね備えている傑作。
興行収入のランキングを見ればそりゃ、そうだよなと思うしかない。
 
 
 
「魚影の群れ」相米慎二監督
まず登場人物それぞれの関係性が素晴らしい。昔ながらの頑固で漁師が命の父親とその娘。そこに彼氏が漁師になりたいと言ってくる。そして父親と離婚した女との再会。
夜と演歌が似合う街と海の相性がとても良く胸が打たれる。
 
 
 
同じ名字を持った二人の人間が手紙で交流していく恋愛映画。
過去と現在を行き来する見せ方がテンポ良くて面白い。
数分で岩井俊二監督の世界を作り上げる。
余韻があるオチも素晴らしい。
 
 
 
イェンタウンというどこか退廃した街を映画の中で構築し、そこに生きる男女の青春。
韓国、台湾とどこか似てるんだけど違うと思わせるその街の空気が感じ取れる。
岩井俊二監督の中だと1番好きな映画で1番良く出来てるなと思ってます。
 
 
3D技術を初めて駆使して大ヒットを飛ばした記念すべきSF映画。
とにかく自然の中で動き回るアバターが美しく、観客をそこへ行ってみたいと思わせる。
だが映画での登場人物は実際にそこへ行けることを証明しているのだ。
 
 
「グッド・フェローズ」マーティンスコセッシ監督
スコセッシ映画の中でも上位に来る作品でギャングの友情と裏切りを巧みなナレーションと共にハイスピードで繰り広げる。
観客を飽きさせない工夫が積み重ねており僅か2時間半くらいの時間でそのギャングたちの人生全てを知った気になれる。
 
 
マッドマックス 怒りのデスロード」ジョージ・ミラー監督
序盤から終盤までアクション映画のクライマックスがずっと続いていく展開に驚きながらもそのカーアクションの凄さに釘付け。
ストーリーはほとんど無いに等しいにも関わらずアクションだけで観客を満足させてしまうのは素晴らしい。
 
 
フィルムノワールの名作でこの映画の全てが素晴らしい。
この先、何が起こるか分からない展開で観客を飽きさせずオーソンウェルズが下水道の中を逃げ回ったりラストの一本道のような美しくもありながら秀逸な構図で一気に引き込まれる。
影を効果的に使い主人公の切なさやオーソンウェルズの悪者感を際立たせてるのが上手い。
チャップリンがフィルムノワールを撮ったら「第三の男」みたいになるのかな...と妄想を膨らます。
 
 
ブギーナイツ」ポールトーマスアンダーソン監督
ポルノ業界で働く人たちの群像劇。成功した人たちが次々と転落していき、そしてそれと入れ替わるように成功していく人たちもいる。
面白い上にスピード感もあって長さを感じない。
 
 
 
「グッド・ウィル・ハンティング 旅立ち」ガス・ヴァン・サント監督
悲しい過去を背負った天才青年とそれを支えていく教師。
天才青年が様々な出来事にぶつかるたび観客はその主人公に徐々に感情移入していく。自分の人生とを見比べ素直に鑑賞後、自分の中にプラスのものが芽生える。
 
 
地獄の黙示録」フランシスフォードコッポラ監督
ベトナム戦争をアメリカ側の視点で距離感を置いて描写し、その戦場に足を踏み入れるマーロン・ブランドの異質感が光る。
 
 
「マジカルガール」カルロス・ベルムト監督
ストーリーの細かいところまでは語らない省略がやけに多くて面白くなかった。
しかしこの映画全体に含まれている日本とスペインの融合がやけに不気味で狂気的で気持ち悪い世界を作り上げているのは評価すべき点である。
この監督にしかない武器はあるので次回作に期待。
 
 
 
本が禁止された世界を描くSF映画だが突出した何かが足りない。
単純に面白くもなかった。
 
 
 
「カノン」ギャスパー・ノエ監督
何をやっても上手くいかない中年男の独白と共にその男の娘との愛を募らせる。
この頃からギャスパーノエの変わった演出が見られる。
 
 
 
「アレックス」ギャスパー・ノエ監督
時間と映画は反対回りに針を進む。
人間が得られる幸福も過去へと置いていかれそれが絶望へと繋がる。
それは悲劇が起こるまでのカウントダウンとも取れるし主人公の後悔とも取れる。
この映画の最後はまるで作品自体に主人公が乗り移ったかのように必死に時間を戻そうと針を動かしていくのだ。
 
 
主人公の魂はまだ未練があり、この輝いた東京を浮遊する。
その魂は主人公と関わりある登場人物たちを見下ろしてことの顛末を観客に知らせていく。
そしてその魂は輪廻転生へと導かれ新しい人間が誕生するという感動的な繋がりをしていく。
映像は3D映画の強さを知らしめた「アバター」並みの美しさと感動が得られる。
この「エンター・ザ・ボイド」はギャスパーノエの代表作そして傑作と呼んでも間違いない。
そこに新しい映画体験が待っている。