8月14日
6月、7月に観た映画
「イタリア旅行」ロベルト・ロッセリーニ監督
離婚寸前の夫婦は旅行によって身体だけでなく心までも観光地を巡るように様々な人々と感情に出会う。
目的もない夫婦の未来はふわふわと漂っており、パレードによって足止めを食らった夫婦はその場で解決策を考える。
「我等の生涯の最良の年」ウィリアム・ワイラー監督
戦争から帰ってきた大人たちが再び社会に戻ることへの困難さを伝える。
「エスター」ジャウム・コレット=セラ監督
単純に面白いしホラーとしての色んな演出に驚かされたりする。
上手いなー。
「デッドプール」ティム・ミラー監督
恐らく小学生のときに観たスパイダーマン以来のアメコミ映画。
こういう下ネタめちゃくちゃ言うヒーローいなかったので新鮮。
「プレイタイム」ジャック・タチ監督
社会の構図またはその中で生きる人たちの様子を素晴らしいセットで撮っている。
明確で美しい。
女ロボット自体の美しさも好きだけど抽選で選ばれた優秀青年と距離を縮める様子が純粋で良い恋愛だなと思う。
そしてそこで起きるサスペンス展開もハラハラするし、その先に起こる物語を考えてしまうラストも素晴らしい。
「ひまわり」ヴィットリオ・デ・シーカ監督
女の悲哀を際立たせるようにただひまわりが一面に咲いている。
「葛城事件」赤堀雅秋監督
始まりはどこにでも存在する。ありふれた家族が崩壊しかけており、もう既に崩壊した現在と行き来する。
同じ家族でも様々な人間が生まれ親が選べない子供たちは威圧的な父親と優しい母親から育てられ自然と心から悪の種が植え付けられてしまう。
「日本で一番悪い奴ら」白石和彌監督
スコセッシのギャング映画を彷彿とさせるも「グッドフェローズ」並みのスピード感は中盤辺りから落ちてしまう。
そのあとは期待してたほどの面白さもなく想定内の着地。
「東京上空いらっしゃいませ」相米慎二監督
今に見る90年代映画の良き古さ。
幽霊が消えたり現れたりする、あの胡散臭い効果も良いなと思える。
「ふきげんな過去」前田司郎監督
少女の反抗期と思春期をテーマに監督独特のユーモアで作品世界を徐々に作る。
ありふれた日常の中に非日常的な謎を取り入れ観客を映画の先へと連れていく。
少女の内面の崩壊を爆弾のスイッチで表現するという装置と仕掛けも上手い。
「FAKE」森達也監督
事件の深いところまでは知らない観客たちが全員、夜のニュースを観てるような感覚になれる。
ちょうど良いギリギリのラインを保ちながら外国人と佐村河内守さんによる心理戦のような戦い、そして猫という和らげる道具(といっては失礼だけど)もあったりして良い映画に仕上がったなという感じ。
「TOO YOUNG TOO DIE! 若くして死ぬ」宮藤官九郎監督
とんでもないエンタメ映画だと思うし本当に素晴らしいと思うし最高に面白いと感じた。
修学旅行、好きな人とバスで隣同士になれるかどうかのドキドキ、その席を違う男子に譲ってもらう学校あるある。そしてバス事故で地獄に落ちて年齢を重ねた好きな人と再会するまで何度も虫に生まれたりとかインコに生まれたりとかして頑張るあの感じ・・・何か「バック・トゥ・ザ・フューチャー1」を思い出しながら観てて本当良いなと思いました。
しかも映画では良い感じに笑えるハナにつかない寒くならないギャグもあるし、地獄ではミュージック要素もある。
映画として色んなことに挑戦してるなーと思って個人的に好印象でした。
「オデッセイ」リドリー・スコット監督
土星で芋を作る。それ以外は以前からあるSF映画と同じような展開...。
「ブロークバックマウンテン」アン・リー監督
荒野、ハードボイルド、同性愛。
切なくて美しい。
コメディ良し。テンポ良し。
「二重生活」岸善幸監督
見ず知らずの人間を尾行するというスリリングな設定を扱ってはいるがその動機が納得いかない。
上手くハマれば良いフィルムノワールになりえたと思うしこういう設定なら最後に仕掛けを入れるべきだと思う
ひと夏の友情と恋に教習所とヤクザを取り入れたのは面白い。
主人公の天然っぽさも上手く表現しきれており作品全体にある温もりは原作と変わらず。
青春ホラーの要素を含みながら低予算ならではの技術も垣間見える。
ここ最近のSF映画でも傑作中の傑作だと感じた。
普通のSF映画は主人公が実際に宇宙へ行って何かトラブルが起きるという流れでこのインターステラーもそうなのだが惑星だけでなく四次元や過去にまで行ってしまう新しさ、そしてノーランが撮る映像とその美しさが上手く融合している。
脚本も複雑に構成されており、主人公と子供たちの関係性もリアリティがあって非常に深い。終盤は本当に感動してしまう。
個人的に「2001年、宇宙の旅」に並ぶ傑作。
この監督はエンタメに徹底した映画を撮り続けたほうが良い。
「バッドマン ビキンズ」クリストファー・ノーラン監督
よくある展開。ただ、それだけ。
『バッドマン ビキンズ』に比べるとだいぶ作品自体の深さが倍増したと感じる。
女と男の逃避行。『ブルーベルベット』と比べるとリンチにしてはあまりぶっ飛んでないように感じる。
いかにもアメリカ!というノリが冒頭から漂わせていて苦笑と寒気を感じながら観ていた。
ベトナム戦争を扱った戦争映画。
戦闘もリアルで人間同士で行われる対立も見ごたえある。
今までに観たホラー映画でTOP10上位に食い込む傑作だし、間違いなくTOP10から落ちることもないだろうと確信出来る。
『戦場のピアニスト』を観た時もそう思ったがこの映画を撮ったロマンポランスキーは天才だ。
ホラー映画というとまず驚かす。急に幽霊やゾンビが出てきて。だけどこの映画はそんなド定番なことを一切やらなかったし、やりたくなかったんだろうと感じさせる。
僕はこれを観て衝撃を受けた。作家独自の作風を残しつつ撮ったパーフェクト・ホラームービー。現在、これを観てからホラー漫画を描こうと密かにプロットを思考中である。
90分という短さでありながら白熱し見入ってしまう社会派映画。
ほとんどのシーンを部屋一つで撮影してしまうという制約を設けながらもこれまで面白い映画が作れるとは。そんなことを改めて実感しました。
「下衆の愛」内田英治監督
売れない映画監督と売れない役者たちがトラブルを起こしながらも映画製作に奮闘する群像劇。
主人公は下衆だが下衆なりにもどこか理解出来る行動がちゃんとあるしそれは他の役者たちにもそうだった。笑いどころもあり売れなさならではの悲哀というのもしっかりと表現出来た作品だった。
実はこれ大阪にある第七芸術劇場で行われた初日舞台挨拶に参加して観た映画。
舞台挨拶というのは初めてだったので良い記念になった。