12月2日
・他人同士が映画館へ集まり一つの作品を共有する。
時々、笑い声や驚きの声などが漏れたとき、まるで仲の良い友人にでもなったみたいな親近感が湧く。
もっと映画行きたいけど自分が観たいと思う作品が友達にとっては観たくない作品のことが多いので辛い。そしたら一人で行けよって話なんですが、やっぱ映画終わりにすぐ感想話し合いたい。
けどデートで映画観に行って鑑賞後、「微妙だったね」って俺が言ったら彼女は「えっ?面白かったじゃん・・・」って言っちゃったら、ちょっと気まずいね。それは二人の好みが合ってないってことだからね。まあ、お互い創作してる人だったら「いや、ここはこうだからああなって~」って熱い討論を交わせるだろうけど普通の女の子だったらまず泣くよね。
だって俺が相手に気遣いながらも創作してる身でもあるから嘘はつけないので正直に「・・・となりのトトロめっちゃつまんなかったね」って純粋な女の子に言ったら最悪でしょ。こんな彼氏、引くでしょ。
なのでそこは正直に「となりのトトロめっちゃ面白かったね!」ってとりあえず嘘でもいいから褒める。とりあえず全部、褒めとけばOK。鑑賞後って大体、「面白かったね~」で始まるから(多分)
・Mなのでヤンデレの女がナイフで男を脅しながら誘惑するという内容のAVを見つけた。すぐに傑作の予感がした。
期待しながら観てみるとナイフを持った女が「愛してくれなきゃ刺すよ・・・?」などと言いながら男の性器をいじくりまわしていて、まさにホラー映画を観ている気分になり、まったく興奮することが出来なかった。
このとき自分はまだまだライトなMなんだなと気付かされた。これを観て興奮出来るのは自分よりもっと上なヘビーなMなんだろう。
・六月、月刊スピリッツに初めて自分の漫画が載ってからもうほぼ半年が過ぎた。
読者による評価がいまいち良かったのかどうかは担当さんにあえて聞いてないのでよく分からないがネームを描き続け送ってはボツ。ネームを描いて送って担当さんからこれで行きましょうと言われそのネームを修正するが結局、変な方向に行ってしまってボツになる・・・の繰り返しです。
なんていうかデビュー前の状況に戻ったな~という感じです。デビュー前もこうやって何度もネーム描いては送り続けてた。
話変わりますがデビューしたあと消えてしまう漫画描きがほとんどらしいです。僕もその中の一人だなーという感じです。けどそのことに楽観視してる自分がいるので意外です。
恐らくこのあと駄目なネームを送り続けてこいつデビューしてから駄目だな~ってなったら切られちゃうと思うのでそのときは別の雑誌に行こう。なので今はスピリッツに気に入ってるネームを送り続けるだけだ。
早く連載会議に出せるようになりたいな。とにかく連載!連載が欲しいね。
・帰ってるとき、そういえば授業がある日は絶対、友達とエロい話してるなーと気が付く。なぜだ?俺が悪いのか?それとも友達か?
・・・まあ、気のせいやな。
「6才のボクが、大人になるまで。」・・・リチャード・リンクレイター監督。
この監督はメッセージ性があれば別にエンタメ要素を無くしても大丈夫だろうと思って撮ったのか?
そのせいでこの映画は二時間半ぐらいあるにも関わらず非常に退屈な作品に出来上がっている。観客に深く考えさせようとばかりしていて楽しませようとは一切、していない。
「マイ・マザー」・・・グザヴィエ・ドラン監督。
ほとんどの人が経験したことがある母親との確執を描いた映画でこの作品を若干20歳で撮ったことに驚愕。
やはり映像のセンスは素晴らしいが脚本自体も申し分ない出来。個人的にグザヴィエ・ドラン作品の中でもお気に入りの作品で今年観た映画の年間ベストに入る。
「胸騒ぎの恋人」・・・グザヴィエ・ドラン監督。
いかにもトリュフォーらしい作品で本人が観たら悔しがるのではないだろうか。
普通は女1人を中心にして男2人が取り合う三角関係が多いとは思うが、これはゲイの男と女が美青年を奪い合うという形で珍しい。だがそれ以外は普通の恋愛映画なのにセンスという言葉だけで映画の中に惹きこまれてしまう。
大根監督といえば「恋の渦」が凄く良かったんで「バクマン。」にも期待して観た。
原作から必要なところだけを切り取って展開は良くまとまっているし、小松菜奈演じるヒロインとの恋愛も甘酸っぱくて個人的に好きです。
だけど中盤のよく分からないバトルシーン。あれは本当にいらなかった。
そしてやっぱり主人公の二人。配役が逆の方が合っていたのでは・・・?
「ジャンゴ 繋がれざる者」・・・クエンティン・タランティーノ監督。
西部劇を撮りたかったから撮った、という感じなんでしょうが正直、今の時代に合せようとする仕掛けがあまり感じられずイマイチだった。
昔の西部劇映画でもありそうな脚本。タランティーノにしては珍しく力が感じられない。長く感じた。
「リンダ リンダ リンダ」・・・山下敦弘監督。
この監督が撮った「天然コケッコー」「超能力研究部の3人」そして「リンダリンダリンダ」を観た感じ本当にこの監督は見せ方が非常に上手い。
韓国人留学生役のペ・ドゥナが文化祭前日に誰もいない体育館の舞台に一人立ってリハーサルをする姿。たどたどしい日本語でメンバー紹介とかをちょっとふざけた感じでやる。これが本当にキュートで良いシーンです。
そして文化祭に向けてみんなで練習をする姿をドアが開いた部室からちょっと離れて撮っている。こうすることによって学生時代が終わった観客に「あー、楽しそうに練習してんなー。こんな青春、羨ましいなー」と振り返らせるようにしてる。
文化祭当日、主人公たちのバンドが他の出演者よりも演奏で盛り上がってるシーンと大雨で誰もいなくて少し暗くて寂しい学校の教室とか校庭を交互に入れることによってモラトリアムが少しずつ終わりに近づいていることを表現している。
これはただの青春映画ではない。
10月23日
他の登場人物のキャラも立っておりそれぞれの過去もよく描けている。
甲子園とチアリーディング部の関係性について
以前、友達と一緒に帰ってるとき、
「可愛い女の子になりたい」と言った。
元から僕は可愛い女の子が好きでよくグラビアを見たりして楽しんでいたのだが、遂に死んでしまって可愛い女の子に生まれ変わりたいという気持ちが出てきた。
可愛い女の子になって何がしたいか。
まず、普通の学校生活を送る。決してグレることなく学校どこにでもいる地味な女子生徒に僕はなってみせる。地味だけどよく見れば可愛い女の子。男子たちはその可愛さにあまり気付いていない。そんな女子に・・・。
そして次は、自撮りがしたい。それをSNSにアップし続ける。ネットに書き込む文章はオリジナリティある文体にして、今時の女子高生が書かなさそうなものにする。
部活はどこにも所属していない。帰宅部だ。しかし彼女が通う高校は毎年、甲子園に出場する強豪校。もちろん今年の夏も出場する。
そんな彼女にチアリーディング部の同級生がやってくる。
「今年もチア部、甲子園に行って応援しにいくんだけどさぁ、人手がちょっと足りないんだよね・・・申し訳ないけど来てくれないかなっ!?」
もちろん彼女は優しいので行くことに。
高校球児と太陽のせいで熱気に包まれる会場。人の多さに私は思わず圧倒される。
女子更衣室。初めて着るチアリーディング部のユニホーム。思わず彼女は同級生にこう言う。
「なんかスカート・・・短すぎない・・・?」
私たちが応援する高校は守備のエラーが続き失点ばかり。かなり点差が開いている。
野球なんて興味ない私だったけど、気付いたらメガホン使って叫んでた。
「頑張れー!頑張れ―!負けるなー!」
隣にいた同級生は思わず微笑む。
『今大会、あんたの声援が一番のホームランだよ・・・』
8月12日
お久し振りです。僕にとってNOGIROOMとは生きる糧 北橋です。
この前、吉川さんとあなんさんが僕をスカイプに誘って頂いて3人で通話をした。
漫画力が高いお二人と会話しているととても良い刺激がもらえる。
あんなに熱く漫画のことを喋ったのは久し振りだった。
ヒーローと映画「バケモノの子」を観に行った。
個人的に細田守監督は「おおかみこどもの雨と雪」が好き。
にしても久し振りに映画館へ行ったが大学生はあんなに料金が高いんだな~と驚いた。
お金持ちになるまではもっぱらレンタルでいいかも。
・去年はPL花火に行ったが今年は友達数人で淀川の花火大会に行った。
大会が始まってる間はどかんどかん打ち上げられてたので、いざ終わると切なくなり、もうすぐ夏が終わるんだと思うと虚しくなってしまった。
それも花火の一つだとは分かっているんだけど終わった後の「また来年も花火見に行けるかな」とか「来年の俺はどうしてるんだろう」とか考えちゃう。センチメンタル。
映画の感想。
「夏の遊び」・・・初ベルイマン。構図、台詞のセンスが良い。
だがストーリーが致命的につまらん。
「イレイザー・ヘッド」・・・デヴィッド・リンチにしか出せないオリジリナリティーで観客を新しい映画体験へ誘ってくれる大傑作。
作品の世界観、独特の間、デザイン、俳優女優の演技が完璧。
本当にこの映画はヤバくて凄すぎる・・・。
「女の都」・・・人から聞かされる睡眠中に見た夢の話というのはほとんどがつまらない。
この映画もそんな話を聞かされているようで物凄く退屈でした。
「欲望」・・・初アントニオーニ作品。
芸術または作品に対する勝手な解釈に反抗した映画。
アントニオーニが主人公の写真家という体を借りて自己批判しているのも分かる。
緻密に製作され監督のメッセージも素直に受け取れる。非常に上手い映画。
「プリティウーマン」・・・まあまあ面白かった。
だけどいかにも無難で監督のセンスとかが本当に何も感じなくて個人的にまったく好きじゃない。
「バケモノの子」・・・冒頭の説明でうんざり。
主人公とヒロインが図書館で出会うシーンは甘酸っぱくて雰囲気良かったけどそれ以降はなんかテンプレの少年漫画を読んでいるかのよう。
「トム・アット・ザ・ファーム」・・・的確な演出で「男と女」「男と男」の関係を描いていたりゲイを拒絶する恋人の兄から執拗に殴られるゲイの主人公だったりと複数の登場人物による心情が素直に伝わってくる。
25歳で撮ったとは思えないほどの上手さ。
画面の落ち着きっぷりがもはやベテラン。
しかもただのサイコスリラー映画ではない。登場人物たちの服装や寝室などを見るとそこからメッセージなども分かる。とにかくセンスが良い監督なのでこれからが楽しみ。
「未知との遭遇」・・・スピルバーグ。まず1970年代にこのような映画を製作できるってことが本当に凄いし未確認飛行物体の光がとにかく綺麗で神秘的。
そのせいか宇宙人との出会いも感動出来るんですよね。宇宙人ってあんなにキモイ外見してますけど感動出来るんです。「ああ、いつか世界もこんなことが起きるのかな」って・・・・・・。
「博士の異常な愛情」・・・キューブリック。人間の欲望が国を左右し簡単に戦争が始まることを描く。
残酷さと笑いは紙一重で出来ているんだろう。
次々と爆発していくラストシーン。そのような状況でも愛する人と一緒にいたいと思ったり、そんな状況だからこそ笑いたいと思えたり。
このラストシーンは映画史の中でも上位に入るほど残酷さを含めた美しさだ。
「七人の侍」・・・黒澤明監督。観客を飽きさせない脚本、登場人物の個性、アクションシーン・・・
色々、良いところありますが僕が本当に良いと思うのは構図と台詞です。
白黒なのに見入ってしまう美しい画面と気付いたらハッとしてしまう台詞。
黒澤監督の映画はこれまでに何作か観ましたがどれも人間味が凄く出ているのが多い。本当に実在してる人物をそのまま撮ってるみたいなんですよね。そこが僕、黒澤映画の好きなとこです。
「ミスティック・リバー」・・・2時間ちょっとあったが1時間半でまとめられそうだ。
蛇足が少し多い。
間違えて友人を殺害したジミーは反省してましたが反省の時間が少ない。これではまったく反省していないように感じる。しかも今まで真面目だった刑事もジミーの罪についてはノータッチ。
「友達だから庇うのか?」刑事が自分の相棒に言われたこの台詞もこれではなんだか矛盾しているように感じる。
時間的にそうするしかなかったんだろうがジミーの今後について他にも方法があったはず。消化不良感が凄い。
だがそれまでのストーリー、終盤のカットバックは非常に良かったので惜しい作品。
「箱入り息子の恋」・・・吉野家で育む恋愛関係がこんなにも素晴らしいとは。
笑える部分もあるが意外に鬱展開が多いのに驚いた。
こういう設定の話は大体ありきたりになってしまいがちだと思うのでそれを避けての鬱展開だと思うが何故かラストは手紙(点字)のやり取り。
そこは少し怪我が治った主人公が仕事終わり自宅に帰ろうとすると雨が降っている。いつものように傘を差して帰ろうとすると二人が一番、最初に出会った場所で夏帆さんが傘を差して待ってる・・・でもいいような?
「スカーフェイス」・・・アルパチーノかっけえ!あの目がドアップになるところ好き!
主人公の性格があまりにもクソなのでどうしようもないけど、どこか魅力があって好きになってしまう。
しかしこれだけの話で二時間半は長い・・・
7月6日
アマチュアとプロとの差はまったく無い。
プロの作品がアマチュアの作品に勝つことがあるし、
アマチュアの作品がプロの作品に勝つことがある。
プロットを思い付くのに時間が掛かる。
思い付いてネームにしてみると駄作だったりなんてのはよくある。
作者と読者が気に入る作品を描くためには仕方ないことかもしれない。
寡作な人はそれが原因なのではないだろうか?
映画の感想
「スティング」・・・巧みなプロット。観客を騙す事に成功してる。
「パーフェクト・ワールド」・・・切ない。ケヴィンコスナーの父親感出てた。
「パンチドランク・ラブ」・・・随所に映像センスは感じるもののベタな恋愛をしてる男女を犯罪に巻き込んだだけの映画。
「フルメタルジャケット」・・・普通の人間が兵士になる過程、平和を願いながらも生きるために人を殺す二面性。他の戦争映画とは比べものにならないオリジナリティさ。キューブリック神。
「IT」・・・色々と酷過ぎるホラー映画。あまりのB級さに笑う。
「嫌われ松子の一生」・・・相変わらずクセが強いこの監督の映画。テンポが良く面白い。
「バートン・フィンク」・・・期待して観た初コーエン兄弟作品だったが・・・ジョン・タトゥーロがメッシに似ていた。それ以外はありきたりな展開。がっかり。
「バリー・リンドン」・・・3時間もある歴史大作だったが飽きずに観れる。これが18世紀の時代か・・・と衣装、建物、背景などを見て思わず唸る。
月刊スピリッツ8月号掲載 読み切り漫画「創作と生活」について
こんにちは。良い夏を過ごす準備出来てますか?北橋です。
今日は報告があります。
実は6月27日発売の月刊スピリッツ8月号で僕のデビュー作「創作と生活」(24ページ)を掲載させてもらってます。
デビューまで1年近くボツになりましたが「創作と生活」でデビューできたことに喜びを感じてます。
ですが作中にいきすぎた下ネタがあるのでそれを見た家族、親戚がなんと言うか分かりません。激昂してペンネームにさせられるか家族を辞めさせられてしまうかもしれません。もしくは僕のこの下ネタのせいで近所で良からぬ噂が流れ北橋家引っ越しということも十分あり得ます。作品の批判よりそっちのほうが物凄く不安です。夜も眠れません助けて。
話は変わりますが「創作と生活」はエンタメだけでなく実際の僕の生活と少し重なる部分や漫画という文化がこうなればいいなという作者の理想が詰め込まれています。注目してほしいところはそこです。
制作時、大変だったことは24ページにまとめることと作画です。
お気に入りだったシーンを泣く泣く削りました。
担当さんが指摘した作画修正にだいぶ苦労しました。上手く描けないからです。
まあ、そんなこんなで完成したのが「創作と生活」です。
最後に小学6年生のときの担任の先生、高校のとき漫画の授業を担当していた先生、専門学校の担任の先生、前の担当さん、今の担当さん、友達、家族、ガールフレンドの沙織、松井玲奈さんに感謝したい。
あなたたちがいなければ僕はここまで来れなかったでしょう。
本当にありがとうございます。
「創作と生活」の感想いつでもお待ちしています。ツイッター、ブログのコメントでも構いません。僕のLINE、メールアドレスを知ってる方がいたらそちらでも全然いいです。面倒臭かったら口頭でも大丈夫です。
面白ければ雑誌のアンケートにちゃんと「面白かった」にチェック付けて出してくださいね。たぶんスピリッツ公式HPプレゼント応募のところで出来ます。
そのアンケートの結果でプレゼント抽選は当たらないかもしれませんが1人の人間の人生を 全て決めてしまうかもしれないので本当に宜しくお願いします。漫画家にとってアンケートとは銃口を向けられているようなものですから。
違う視点から戦争を撮ったドキュメンタリー映画。
「ウォールフラワー」・・・スティーブン・チョボスキー監督。
10代が経験するであろう青春、性別の壁を撮った映画。こういう内容はときどき観ていて恥ずかしくなるものが多い。だがこの映画に関してはそんなことはまったくなかった。
褒めたいのはクライマックス。薬物による幻覚と自殺の関係性の描写はとても素晴らしく胸騒ぎがした。
「ドライブイン蒲生」・・・たむらまさき監督。
少し寂れた町とそこで暮らす家族の関係性が非常に良く表すことが出来ていて小道具の針?が家族にとってどのような物かが分かるというのも効果的だった。
「転校生」・・・大林宣彦監督。
この80年代に公開された青春傑作映画は自分の映画体験の中でとても重要な一作になった。
公開から30年以上経った今。映画の中で行われる展開は特に新しさもなくベタに思える。だがなぜこんなに面白く、批評的な目から見ても完成度が高いのか。
それは尾美としのりさん、小林聡美さんのエネルギーに満ち溢れ、吹っ切れたような演技がもう本当に素晴らしいのだ。この演技のおかげでこの映画の価値がとても上がったんだと僕は思う。(小林聡美さんが演じた男の子は本当の男の子よりも細かい仕草含め男らしかった。正直、こんなに素晴らしい演技今まで見たことがなかった。あまりの素晴らしさに思わず観ていて笑ってしまった)
ラストシーン。8ミリに映る小林聡美さん演じる一美が車を追いかけるのを止め、後ろを向き、スキップし、そしてまた振り返ったと思った瞬間に8ミリが終わる・・・本当に感動した。何もかもが計算され尽くしている。映画の中で誰もが聴いたことのある音楽はとても効果的で、(製作費がないためそのような音楽を使用したらしいが)心は男の一美がナンパ男を撃退し、その男がまるでギャグ漫画のように足をぴくぴくさせながら倒れているところ。計算してそうやったのではないかと思い、本当に怖くなる。
オープニングとエンディングまたその間にあるものも素晴らしい。こんな映画は中々、作れないし観る機会もあまりないだろう。
まるで奇跡が起きまくったような映画だ。
「隣の女」・・・フランソワ・トリュフォー監督。
男女の愛をサスペンスを絡ませながら深く突き詰めており非常に面白く観ることができた。
トリュフォー映画の中でも完成度と面白さがとても高い作品。
「パッチギ」・・・井筒和幸監督。
極めて王道そして普通・・・
評価出来るのはクライマックスからラストにかけての盛り上がりのみ。
「恋のエチュード」・・・フランソワ・トリュフォー監督。
姉妹との壮大な恋愛を2時間で描かれ、トリュフォー自身によって語られるモノローグの台詞がとても際立っている。
4月5日
ブログ更新しない間、ずっとネームの修正を繰り返してたけど最終的にボツになった。自信あったのに悲しい。いつかこのネーム、発表する日が来たらいいなと思う。
ページ数が多いと言われるので新しいネームを24ページにした。上手く行けばいいと思うし気に入ってる作品だけど自分の作風的に自信ない。この前のネームボツが原因で自信無くなってる。
自分が面白いと思うものと周りが面白いと思うものが少しズレているような気がしてならない。不安だ。
今年に入ってからネームばっかやってるような気がする。
早く有名になって売れて色んな人から感想が欲しい。漫画描くのはいつも一人だから孤独だし妙にテンション上がらないしこんなに虚しいことって他にあるのかと愚痴りたくなるが部屋で一人作業中だから愚痴る相手もいない。だから自分の漫画を読んだ人たちの感想が本当に救いだ。色んな人が漫画を読む。俳優も女優もアイドルもお笑い芸人も一般人も。日本人のほとんどが日常的に漫画を読むといってもいいくらい。だから自分の漫画もその人たちの日常に滑り込むことができたらと思う。
最近、描く漫画の設定がAV関係のものばかりで良い感じに谷崎潤一郎の影響受けてるなと思う・・・・・・。
「バタフライ・エフェクト」・・・エリック・ブレス監督。
全ての物語には必ず作者が正解だと思った展開を選ぶ。間違いだと分かったらその展開を失くし、また違う展開に置き換える。それを修正、推敲などと言う。
だがこの映画では違う。脚本を書くとき候補に挙げた展開を全て実行している。そのため映画としての面白さは申し分ない。
斬新なアイデアも主人公の能力で十分、納得出来る。
「私の男」・・・熊切和嘉監督。
浅野忠信さん、二階堂ふみさんの存在感と演技にまず圧倒され、近親相姦を描いた緊迫感に思わずやられた。
あの年齢で浅野忠信さん相手に小悪魔な演技をさらりとやってのける二階堂ふみさんは本当に良い女優だなー。
しかし花による殺人で遠くまで行ってしまう大塩さんの姿はとてもユーモアあふれていたのでそこは花が大塩さんを氷水の中へがんがん蹴って沈めてほしかった。
だが浅野忠信さんがモロ師岡さんに鍋に入った熱々のおかずをぶっかけナイフで殺すシーンは迫力ある構図で素晴らしかった。
「ほとりの朔子」・・・深田晃司監督。
浪人中の朔子が夏の終わりの二週間を伯母の家で過ごすという非常に文学的な映画。
海辺の街と二階堂ふみの被写体も良く合っていて、彼女の表情から心情が上手く読み取れる。
また原発事故被害者を少し違う視点から描いてるのも新しいなと感じた。
「パレード」・・・行定勲監督。
映画全体に流れる雰囲気はかなり好きだし良かったんですが藤原竜也さんが林さんを尾行するシーンあまりにもバレるだろって思ってしまうくらい近すぎるし、ラストのシーンは登場人物みんな普通の表情にしたほうがいいのでは?と思ってしまう。
素材はかなり良いのに色々ツッコミどころがある、もったいない作品でした。
「2つ目の窓」・・・河瀬直美監督。
生と死、十代の男女の性をとても抒情的に表現され、観ていて心が揺さぶられた。
舞台となった町本来の温かさ、住民の暮らしが想像出来る。
「渇き。」・・・中島哲也監督。
時系列をコントロールしながらストーリーを進ませる技術、役所広司さん、中谷美紀さんの演技はさすがと言ったところ。
だが過去に撮られた「告白」と比べるとやや物足りない。
もう少し加奈子というキャラクターを掘り下げる必要があった。
現実感がない。
「ゴーン・ガール」・・・デヴィッド・フィンチャー監督。
鑑賞中、あまりの完成度にとても驚いた。
この傑作サスペンス映画をヒッチコックが観ていたらとても悔しがってただろう。
「ゴーン・ガール」は一度も停止することなく加速し続け、ニックとエイミーが吐いていた嘘は観客、作品内の登場人物を騙すことに成功した。
不穏な音楽ではニックの心情と観客の気持ちが見事、シンクロして効果的。
またこの「ゴーン・ガール」はただのサスペンス映画ではなくマスコミを批判しつつ夫婦というとても日常的なものを設定として入れたおかげで観客に「もしかしたら自分にもこんなことが起こるのではないか」という不安を抱かせている。
これが今までのサスペンス映画と「ゴーン・ガール」の違う点である。
よくあるサスペンス映画では鑑賞してる自分もしくは実際に起こりそうだと思わないのがほとんど。
だが「ゴーン・ガール」は不吉なことに実際に自分の身に起こるかもしれないのだ。